西部学術ネットワーク


 西部学術ネットワークとは、島根大学および中国西北部を中心とする大学・研究所から集まった研究者が、日中の持続可能な農村社会の構築、及び特に厳しい自然環境の下にある中国西部農村地域の発展の実現を目標として、日中学術協力を継続的に推進するために構築した、中国西部地域研究者のための開かれた学術空間です。寧夏大学・島根大学国際共同研究所を研究プラットホームとし、学科や地域を越えたプロジェクト共同研究や資料交換等の方法によって学術交流を強化する役割を担っています。
 2022年3月現在、本学を事務局として、大学間協定締結校および学術ネットワーク覚書締結校を中心に、中国の12大学の研究者や研究グループとネットワーク体制を築いています。

 

西部学術ネットワーク体制図 分布図
※黄は大学間協定締結校、緑は学術ネットワーク覚書締結校



現在実施中の共同研究

共同研究(2025~)

寧夏大学(寧夏回族自治区銀川市)他 寧夏大学(寧夏回族自治区銀川市)他
アグロエコロジーへの転換と
経済・環境・社会の持続可能性評価
各言語における雑談会話の
話題移行パターンに関する研究
概要:自然生態系を生かした持続可能な農業(アグロエコロジー)を実践する農家に対して経営分析、環境影響評価、消費者との直接取引や相互交流など、経済・環境・社会の側面から持続可能性評価を行い、「持続可能な食と農」の確立に向けた経済・環境・社会的な存立条件を明らかにすることにより、「持続可能な食と農」の確立を実現する。


概要:会話資料から収集した話題移行箇所の特徴を多様な観点から分類し、出現しやすい特徴の組み合わせを整理することによって、各言語の話題移行パターンを提示する。これにより、言語教育に対して有益な知見を提供することができるとともに、言語ごとの話題移行ひいてはコミュニケーションパターンのメカニズムを解明する研究につながることが展望される。


 

共同研究(2024~)

マウル研究所イルソゴンド(韓国) 中国人民大学経済学院(北京市)
小規模自治体と民間による農村開発に向けた
取り組みの日韓比較
東アジア型の持続可能な農業・農村モデルの
確立に向けた実証研究
概要:マウル研究所イルソゴンドは、農村の草の根活動家、研究者、中間支援組織職員等による「農村邑面の成果交流会」を組織し、互いの活動経験について交流している。島根大学の研究者との交流により、日本における小さな拠点づくりや農村RMOなど、町村単位での農村再生や内発的発展の革新事例について共有し、課題やその解決方法について検討する。


概要:島根県内において萌芽的に展開している「持続可能な農業・農村モデル」の実践例を日中比較の観点から事例分析し、中国人民大学がこれまで取り組んできた「農業・農村における近代化・現代化の日中比較」の研究成果と総合化することで、「東アジア型の持続可能な農業・農村モデル」を理論的・実証的に明らかにする。


 

共同研究(2022~)

寧夏大学(寧夏回族自治区銀川市) 西南大学(重慶市)
寧夏における新たな自給飼料給与プログラムによる
灘羊肉生産効率と環境負荷低減の試み
人口再生産力とコミュニティ機能に関する日中比較
―グローバル経済下で高出産率の地域を維持できるか―
概要:持続可能な家畜生産システムの確立を目的として、寧夏回族自治区の在来品種である灘羊を対象とし、寧夏大学が新規調整した自給飼料による肥育生産成績について調査するとともに、代謝インプリンティングを用いた飼料タンパク質の転換率の向上と糞尿窒素排泄量の低減により、環境負荷の抑制を達成する新規飼料法について検討する。


概要:先進国に共通した人口減少という社会課題を解決するため、高出生率を維持する日中の条件不利地域(日本:島根県の中山間地域・離島、中国:四川省・雲南省の少数民族地域)を分析対象として質的・定性的調査を行い、人口の自然動態の様相とその要因を、コミュニティの機能に注目しながら明らかにする。





鳥取大学乾燥地研究センター
蘭州大学(甘粛省蘭州市)
湖羊の乳生産とエネルギー利用との関連
概要:湖羊は中国北部原産の乳用種で耐暑性が特徴である。近年の地球温暖化に対処可能な自給粗飼料主体での羊乳生産方式について、鳥取大学乾燥地研究センターおよび蘭州大学草地農学院と共同研究を行い、蘭州の自給粗飼料主体の飼料を給与した湖羊の乳生産成績とエネルギー利用についての研究を実施している。


 

共同研究(2021~)

寧夏大学(寧夏回族自治区銀川市) 蘭州大学(甘粛省蘭州市)
「耕畜連携」の日中比較と学際研究
―窒素フローからみた地域の持続可能性アセスメント―
メタン放散低減を目指した
寧夏自治区における新形質枸杞茎葉部の飼料化
概要:日本の中山間地域と中国・西部が抱える地域環境および生態系の保全・修復と畜産経営の安定の両立という共通の課題を解決するため、社会/経済学・動物栄養/畜産学・生態環境/土壌学からの学際的アプローチと国際共同研究により、日中双方のフィールドにおける地域環境・地域社会・地域経済の持続可能性を実現するための「耕畜連携」モデルを提示する。


概要:家畜生産成績の向上と環境への配慮を両立した大規模家畜飼養モデルの確立に寄与するため、近年寧夏で発見された新形質枸杞を供試し、茎葉部の飼料価値査定と、肉用牛・在来羊への給与試験によるエネルギー利用率・窒素蓄積成績・メタン産生量に関する調査を実施し、新規粗飼料源としての飼料価値を明らかにする。


 

 

 

ページのトップへ戻る