NEWS

第18回日中国際学術セミナーを開催しました

2021年7月16日

 2021年7月10日、第18回日中国際学術セミナーを開催しました。島根大学と寧夏大学は、毎年交互に日中国際学術セミナーを行っており、第18回目のセミナーは、本来昨年度に島根大学で行われる予定でしたが、コロナ禍により延期されていました。コロナ禍の収束が未だ不透明であるため今回はオンライン開催となりましたが、メインテーマを「SDGs実現のための農学研究-今後の日中国際共同研究にむけて」とし、日中から合わせて37名が参加しました。

 まず開幕式では、島根大学の大谷浩副学長と寧夏大学の周震副校長よる挨拶が行われました。大谷副学長は、2019年に締結された共同研究所第4次基本合意書においてSDGsが中心課題とされたことに触れ、人類共通の課題であるSDGsの解決に向け、有意義な報告と活発な討論に対する期待を述べられました。その後、当研究所の保母武彦日本側顧問、および陳育寧中国側顧問より、これまでの研究所の歩みと今後の展望が語られました。

 続いて行われた学術報告では、畜産分野の研究の現状と今後の国際共同研究にむけた提案を日中ともに英語で行いました。日本側の報告を行った一戸俊義日本側所長は、以前の寧夏での調査の様子を紹介しながら、島根大学の畜産学研究室が実施している研究成果に基づいて、SDGs1、15および17の実現に向けた共同研究課題への取組を3題(乳用牛飼養、灘羊飼養、肉用牛飼養)提案しました。中国側の馬云農学院教授は、農学院畜牧学科が実施している寧夏の牧畜業の特色を活かした、家畜の遺伝育種・繁殖、家畜栄養・飼料、畜産食品の安全と質のコントロールという3つの研究教育の方向性とそれぞれの成果等について説明しました。質疑応答では、それぞれの国の具体的な家畜生産状況について意見交換が行われ、今後双方で共同研究の実施に向けた課題を整理し、訪問が可能になった際には現地調査を行うことで一致しました。また寧夏大学農学院畜牧学科と島根大畜産学研究室とのメール等を利用した活発な交流開始も約束されました。

 その後閉幕式では、3月に退職した伊藤勝久日本側前所長が挨拶を行いました。伊藤所長は、今回のメインテーマであるSDGsを国際共同研究の目標に据えることの意義を強調し、中でも、これまで培ってきた日中共同研究の基盤の上に新しい成果を積み重ねるために、SDGsの17番目の目標である「パートナーシップで目標を達成しよう」が重要な道標となると述べました。

 今回のセミナーでは、畜産分野における共同研究に関する意見交換というかねてからの希望が実現したことと、オンラインおよび英語による報告という新しい試みがなされたことが大きな成果となりました。その一方で、二国間を結んだオンライン交流に伴う技術的な課題や、非対面による交流の限界も感じられました。コロナ禍の中とコロナ終息後において、今後いかにして具体的な共同研究につなげていくのか、日中双方で意見を出し合いながら歩みを進めていく所存です。



 

 

<記事の一覧>

ページのトップへ戻る