楽牧高仁牧場
 平成29年10月15日,寧夏自治区平羅県にある楽牧高仁牧場(正式名称:寧夏平羅県楽牧高仁草畜林基地)を訪問しました。楽牧高仁牧場を経営する寧夏楽牧高仁農業開発有限公司のCEOである呂学虎さんは,1993年まで島根県の国際交流員として日本に滞在し,その後寧夏自治区外事弁勤務,不動産会社代表という経歴を持つバイタリティ溢れる方です。現在は銀川市内の商業施設の株主として投資会社を経営する傍ら,昨年2月,ふるさとである平羅県にこの牧場を設立しました。

 楽牧高仁牧場では,肉用牛の養殖を中心に,飼料利用を目的とした牧草と,りんごや梨等の果樹の栽培をしています。現在,2000頭余りの肉用牛を飼育しており,そのうち500頭がオーストラリアにある直営牧場から種牛として輸入したもので,将来的には5万頭規模の牧場にする予定だということです。

 楽牧高仁牧場の大きな特徴は,砂漠に作られているということです。モウス砂地の西端に位置しているこの牧場で,牧草や果樹を栽培することは,経済的利益が期待されるだけでなく,砂漠化した土地の植生を回復させることにも一役買っています。砂漠であるため初期整備は大変ですが,農薬等で土壌が汚染されていない点において,有機農業を始めるのには有利です。この点を利用して,安全な農畜産物を市場に提供したいと呂さんは考えています。中国では,近年有機農業の推進が叫ばれていますが,生産者・消費者双方の意識がまだ高くないため,国際的水準には達していないのが現状です。楽牧高仁農場では,周辺の農村の住民に農作業を手伝ってもらっていますが,彼らに利益を直接分配することで,自身の周辺から,有機農業に対する意識を高めて行きたいそうです。

 呂さんが不動産業から農業に方向転換したのは,「人があまり手を出したがらない分野にこそ勝機がある」との考えからだそうです。学生時代は語学と経済学を専攻しており,農業に関する知識は全くないという呂さん。しかし,「門外漢だからこそ思い切った行動が取れる」とも言います。専門家と逐一相談しながら,思いついたアイデアを実現する可能性を見出し,中国では未だ「社会的弱者」が行うものであるとみなされている農業を,政府や国内外の投資家が注目するような,未来ある産業へと変えて行きたい,その思いで事業に取り組んでいるということです。


 写真向かって右端が呂さん

 果樹林と飼料発酵用設備。青い屋根が牛舎

 牛舎にて

 集合写真


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