羊いろいろ
 中国西部地域でよく食べられるお肉といえば羊です。これは,西部地域の気候や風土が羊の養殖に適しているからでしょうし,また,寧夏や新疆に多いイスラム教信者の人々は豚肉を食べることができないといったことも関連しているかもしれません。ちなみに中国語で「羊」と言った場合,それだけでは羊か山羊か区別がつきません。羊は「綿羊」,山羊は「山羊」と言って初めてどちらかわかるのですが,普通はただ「羊」あるいは料理の場合は「羊肉」ということが多いため,自分が羊を食べているのか,山羊を食べているのかわからない,ということがよくあります。ともあれこの羊,地域によって好まれる種類が異なります。

 寧夏では一般的に,「灘羊」という種類の綿羊が飼育されています。この灘羊,羊独特の臭みがほとんどなく,食べやすいと評判なのですが,それは食用とされているのが,1歳以下の去勢された羊だからだそうです。そのため,肉質がやわらかく,また放牧が禁止されているので舎飼いのため,脂肪のたっぷりついたお肉となっています。ゆでて,酢をつけて食べるのが一般的です。

 灘羊。毛がふさふさです。

 灘羊の肉
 一方,内モンゴル自治区では,2歳以上の成体が好まれ,ゆでたり焼いたりした塊の肉をナイフで一口大にそいで食べます。ラムではなくマトンになりますので,固くて羊独特の匂いがあり,日本人の味覚からすると,好まれないかもしれません。ですが,彼らにとっては,この香りや噛み応えがあってこその羊なのです。

 そして,青海省では,「蔵羊(チベット羊)」という種類の羊(山羊もいます)が主に飼育されています。青海省では,寧夏や内モンゴルと違って放牧がそれほど禁止されていないため,草原や山を駆け回って草を食べているからか,蔵羊の肉は筋肉質で,歯ごたえがしっかりしていながらも噛み切りやすいという,独特の食感。しかも,ゆでる時にしっかり塩を効かせているのでそのまま食べてもおいしかったのが印象に残っています。

 このように各地で異なる羊の味。食べ比べてみるのもいいかもしれません。

 チベット羊。角が特徴的です。

 チベット羊の肉


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