記録的な大雨

 銀川市は、7月14日夕刻から深夜にかけて記録的な大雨に見舞われた。
 6月は異例の砂嵐だったが、7月は寧夏気象観測史上最高の大雨が降った。確かに今年の寧夏は異常気象が続いている。
 6月の来銀以来、パラパラ程度の雨は何回もあった。こんな雨では誰も傘などささない。7月13日には、午後7時頃、例によってパラパラと降ったり止んだりしていた雨が、9時頃から激しい雷鳴を伴いピチャピチャと雨音を立てる本格的な雨に変わり、12時頃まで降り続いた。日本の雨の日を思い出し心が安らぐ。ここに来て初めての経験だ。
 記録的大雨は、翌14日に降った。午後6時頃から降りだした雨は、15日午前3時頃まで約9時間も降り続いた。15,16,17日と銀川市の各新聞は大雨の情況をトップ記事で伝えた。
 この雨は寧夏全土に降ったが、特に北部地域に多く、銀川市では104.8mm、惠農地区では92.5mmを記録した。これは、1954年に寧夏で降水量の観測データを記録し始めて以来の大雨だという。これまでの記録は、銀川市では1979年7月26日の66.8mm、惠農地区が1975年8月5日の81mmである。

 一般に寧夏の年間降水量は、銀川市や惠農地区などの北部では200mm前後、南部では400~600mmと言われているから、銀川市では平年の年間降水量の約半分が14日から15日にかけての9時間に降ったことになる。
 原因は、福建省や広東省、湖南省などに大きな被害をもたらした台風4号(中国では碧利斯ビリスと命名)の影響で、インド洋から湿った大気が中国の西北部に入り込んだためと気象台の専門家は語っている。
 被害は、農業、民生、水利、交通、電力施設など広範囲にわたり、被害総額は2.5億元と新聞は伝えている。
 銀川市では、460戸、1,310棟の家屋が倒壊。また、440戸、1,420人を避難させた。武装警察70人が被害地域の支援のために組織された。市中心部でも道路の排水が追いつかず膝上まで水がたまり、車が通れなくなるところがでた。
 農作物の被害面積は25万畝(ムー)(1畝は666.7㎡)にのぼり、1,400棟の温室が倒壊し、1,240頭の家畜が死んだという。収穫最盛期の西瓜畑には水がたまり大きな被害となった。価格が暴落し西瓜農家の人が1人自殺したと言う話も伝わってきた。

 乾燥地帯である寧夏の人は、普段は雨が降るとうれしくなると言う。しかし、いくら恵の雨を待ち焦がれている寧夏の人々にとっても、一度にこうも降られてはやはり困りものだろう。何事につけ、こうした大雨は想定されていないだろうから、色々なところで想定外の被害を蒙ることになるのだろう。

(2006年8月7日 新聞抄訳:楊、文責:神田)

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