・・・キャンパスライフ 軍事訓練は必須科目


 写真:軍事訓練に取り組む学生たち
 島根大学と寧夏大学のキャンパスライフの違うところを思い浮かべてみると色々思い当る。しかし何といっても大きな違いの一つは、卒業要件にかかわる必須科目として軍事訓練があることであろう。
 中国の軍隊は、徴兵制ではなく志願制であるが、大学では軍事訓練が義務付けられている。高校でも軍事訓練を行うところは多いらしい。
 寧夏大学の今年の軍事訓練は、7月8日から7月28日まで行われた。9月から2年生になる全日制の本科(4年)、専科(3年)の全学生が対象である。寧夏大学の全日制の本科・専科の学生数は約20,000人と言われているから、およそ5,000人がこの軍事訓練に参加したことになる。共同研究所があるAキャンパス以外の3つのキャンパスに分かれて訓練を受ける。
 私たちが、街に出るときに通り抜けるBキャンパスでは、人文学院、物理電気情報学院、外国語学院、体育学科を中心に約1,200人が参加した。

 訓練は、朝6時半に始まる。早朝のキャンパスを散歩していると迷彩服を着た学生が、眠い目をこすりながら三々五々と集まってくる。この迷彩色の軍服は、大学が準備した新品一式を自費(110元前後)で購入したものである。(一式;上着上下、半袖下着、帽子、靴)
 学院別に10数小隊に分かれ、最初の2,3日は男女混合で駆け足や「気を付け」「回れ右」などの基本動作を何回も繰り返したり、大声を上げる発声練習、軍歌の練習をしていた。その後は男女別々の小隊になった。迷彩服を脱ぐとまだまだ童顔が残る彼ら彼女らだが、1週間もすると動作もきびきびし、迫力も付き、なかなか頼もしい若者集団に変わっていく。
 指導者は自治区の軍区から派遣され、毎日の各小隊の指導は軍区の同年代の学生が担当するという。他に各学院の政治思想指導担当の先生(授業を受け持たない生活指導専門の先生)も参加する。訓練は、毎日、朝食と2時間の昼休みを除き夕方8時、9時まで続く。
 外出機会の少ない私たちには、訓練内容をじっくり観察することは出来なかったが、何回か模擬銃での射撃訓練や護身術の訓練を見た。ともかく期間中は朝早くから夕方遅くまで一日中、威勢のいい掛け声がキャンパスにこだましていた。

 7月28日最終日、大きなグランドに全員が集まっていると聞いたので行ってみるとすでに催しは終わり解散体制に入っていた。各キャンパスから集まった訓練生は、優に5,000人はいる。各学院ごとに退場・解散して行ったので、外国語学院がいつも集合する場所に行ってみると、整列して若い指導教官と一人一人握手をし、短い言葉を交わしていた。
 学生代表の何人かが声を詰まらせながら感想を言ったり、歌を歌った。聞いている殆どの学生が流れる涙を拭くこともなく泣いていた。その気持ちを推し量ることは出来ないが、20日間の苦しい訓練を終えた達成感と安堵感、そして苦労をともにし互いに助け合った友情の涙ではなかったのか。

(2006年8月8日 文責:神田)

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