2018年度日中国際学術セミナー(第16回)が島根大学で開催されました

 2018年11月17日〜19日の3日間にわたって、日中国際学術セミナー(第16回)が島根大学で開催されました。本セミナーは、島根大学と寧夏大学の共催により、島根大学・寧夏大学国際共同研究所が実施主体になり、毎年日中交互で開催しているものです。

 今回は、全体テーマを『エコロジカルな地域社会の形成へ向けた日中国際共同研究の可能性、〜循環経済、再生可能エネルギー、低炭素社会、地域資源の高次利用〜』と題して、現代の日本、中国が直面している急激な経済成長が一段落し、大きく変質した社会の今後のあり方、また環境に配慮した社会のあり方に関して、技術面での対応、社会経済面からの分析・提言などを中心に報告がなされました。
 セミナーでは、秋重理事による開会挨拶に次いで、許 寧夏大学副校長、朱 西北農林科技大学教授、および出口副学長の挨拶があり、そのあと報告会が行われました。基調報告では寧夏大学李進教授による「寧夏農村における廃棄資源の効率的な利用方法」、また島根大学上園昌武教授による「エネルギー自立地域づくりの意義と可能性」が報告されました。とくに上園教授の報告には大変つよい関心が寄せられました。その後32の個別報告がありましたが、その内11報告は、「さくらサイエンス」プログラムによる研修グループによるものです。
 海外からは、寧夏大学から許副校長他7名、さくらサイエンス研修団(寧夏大学)の李教授他10名、西北農林科技大学から朱教授他9名など、30名近くの参加がありました。本学及び山口大学など他の国内大学からも多くの報告が行われ、合わせて50名を超える参加者によって、大変熱心に報告と質疑応答が行われました。
 参加者全体の関心は、再生可能エネルギーの利用と資源循環による環境負荷の軽減、およびそれを社会全体でどのように取り組んでいくかという点でした。

 本セミナーは、寧夏大学に設置されている島根大学・寧夏大学国際共同研究所が2006年に研究所内で小規模に研究会を始めたことに遡ります。当時は「寧夏社会経済の持続可能な発展」というテーマで当時取り組んでいた共同研究メンバー9名による発表と討論会でした。これが参加大学・地域も拡大し現在に至っています。
 また今回は、「さくらサイエンス」プログラム(総合理工学部 水野助教の受入により、11月11日から10日間、島根大学で太陽光発電について研修を実施しました)で来日した寧夏大学の大学院生の研修報告の場も兼ねたことで、大学院生にとって研鑽の機会となりました。

 11月19日には、テーマに関連する現地視察を2コースに分かれて行いました。一つは、「環境に配慮した地域社会の取組み」という内容で、雲南市のZEB(ゼロ・エミッション・ビルディング)型の市庁舎見学、地域の未利用木質バイオマスを活用した資源収集と熱供給システム、有機栽培によるワイン製造、集落運営による有機栽培野菜の提供レストラン(兼、昼食)でした。もう一つのコースは、西北農林科技大学との共同研究の関連で島根県畜産技術センター、農業技術センターでの牛糞堆肥腐熟施設およびブドウ園土壌への堆肥施用、奥出雲町立仁多堆肥センターの視察を行いました。いずれのコースにおいても参加者の関心が高く、多くの質問があり時間が足りないほどでした。
 本セミナーを通じて、多くの成果が得られ、参加者相互の交流も一層を深まり、今後の国際共同研究の発展につながる機会を提供できました。


秋重理事の挨拶

セミナーの様子

視察(奥出雲ワイナリー)

視察(仁多堆肥センター)

視察(畜産技術センター)