第11回 日中学術国際セミナーが開催されました


 2013年10月21日〜23日の日程で、第11回日中学術国際セミナーが寧夏大学で実施された。島根大学からは小林学長、竹内理事、安藤国際交流センター長、小村学術国際部長をはじめ、生物資源科学部、法文学部、教育学部の教員・大学院生10名が参加した。今回のセミナーは、島根県と寧夏回族自治区の友好交流締結20周年の一連の行事と日程を合わせて行われたため、島根県副知事を団長とする島根県の関係者、またNPO法人日本寧夏友好交流協会のメンバーなど市民の友好交流団もセミナー開会式、共同研究所図書館の開所式、及び同図書館の見学に参加した。

 開会式では、小林島根大学長、何寧夏大学校長が両校の友好と学術の発展のために本セミナーが大きな役割を果たしていると挨拶し、両校の友好提携を確認した。

 開会式では、小林学長が特別講演として、島根大学概要の説明と各学部で行われている特徴的研究をアピールし参加者の関心を集めた。次いで、基調講演が行われ、寧夏大学経済管理学院高桂英教授は「中国内陸地域における気候変動への対応経験」と題し、寧夏で実施されてきた生態移民プロジェクトの意義について報告した。また島根大学法文学部関耕平准教授は「TPP参加と日本の農村」というテーマで、現下の課題であるTPP参加について農村の受ける影響と都市へのその影響の波及の問題を指摘し、豊かな農村のあり方として「むらの時間でときを刻む」ことの重要性を訴えた。

 翌日から1日半にわたって、学術報告が行われた。報告数は約40本で島根大学の研究者と寧夏大学ほか4大学からの中国人研究者が参加し、十分な議論がなされた。(別添プログラムを参照)。最後に、島根大学生物資源科学部伊藤勝久教授が、セミナー全体の総括を行い、今後の課題として日中両国に関連する点として、地域開発における政府の役割や内発力醸成、気候変動への対応、環境意識の醸成方法および地域住民の価値感、行動規範と宗教の関係などを指摘した。

 セミナー全体については、報告数と報告者の範囲が徐々に拡大しているが、同分野の研究者の参加拡大が一層期待される。とくに自然科学系・技術系の報告における同分野の研究者がより多く参加することで、その議論も深まり実り多いものとなるという点が今後の課題である。次回2014年度のセミナーは島根大学で開催予定であり、多くの研究報告と参加者を期待している。

  2013年度 日中学術国際セミナースケジュール