■ 寧夏農業の経済効果に関する調査・分析
   *馬宏岩 (銀川市食品(薬品)公共安全検験検測中心)
宁夏农林科技≫ 2010年第3期より

近年来、寧夏は農業産業の構造調整の進展を早め、現代農業と特色農業の発展に力を入れている。寧夏の農民一人当たりの純収入及び優勢特色農業の経済効果と比較効果を把握するため、筆者は国民党革命(以下、民革)寧夏回族自治区委員会の「寧夏農業経済効果調査」の研究グループに参加した。この調査研究は2008年8月から10月にかけて行われ、自治区及び市の連動調査という方法によって、民革銀川市、石嘴山市、呉忠市、中衛市委員会がそれぞれの管轄区内の区、県、市で調査を行い、自治区委員会は固原地域での調査手配と全体のスケジュールを整えた。調査は、現地調査、座談会、農家調査、アンケート調査及びサンプリングの方法によって、農民の年収入と収入の出所及び構造、農業収入、畜産収入、農産品加工収入、農民生産経営費用、その他の支出、主な優勢特色農業産業の比較利益効果及び一人当たりの利益効果、社会貢献率の分析と順番、農業産業化経営(専業協会を含む)項目、当面の農民増収の主な困難と問題、農村経済発展に対する農民の考えについて調査研究を行った。

1 寧夏農業の基本状況
 寧夏の農業人口は412万人で、総人口の70%を占める。寧夏の地域特徴は、以前は川区と山区という二分法であったが、土地事情を考慮し、北部黄河灌漑区、中部旱魃帯、南部黄土丘陵区という三分法に調整された。2007年、全自治区で農業生産総額165億元(前年比+6.8%)を実現し、農業増加値生産額は97.9億元(前年比+6.5%)となった。食糧の生産総額は300万トンに達し、全国で一人当たりの食糧占有供給量が500㎏を超えた五つの省(区)の一つになった。近年来、寧夏は農業産業構造の調整に力をいれ、現代農業と特色農業を強力に発展させており、農業経済に以下のような特徴が現れた。

 1.1優勢特色産業を中心とした地域化産業分布の基本がほぼ形成された
 中国共産党寧夏委員会と政府は、食糧生産を安定させるという基礎の上で、以下の十大特色優勢産業の発展計画を制定した。①中寧県を中心とした賀蘭山と清水河流域に広がるクコ産業帯、②黄河灌漑区における肉羊牛交雑改良区、塩池県—霊武市-同心県-海原県の灘羊産業帯、及び六盤山麓肉牛生産区からなる清真(回教徒用)羊・牛肉生産帯、③呉忠市及び銀川市を中心とした乳業帯、④南部山区と中部旱魃帯を中心とした馬鈴薯産業帯、⑤環香山地区「セレン西瓜」産業帯、⑥寧夏全域における施設農業の推進、⑦黄河灌漑区を中心とした優良品質の食糧生産帯(水稲、小麦、トウモロコシが主体)、⑧主に賀蘭山東麓に集中する葡萄産業帯、⑨霊武-中寧-紅寺堡-同心-海原の紅棗産業帯、⑩黄河灌漑区の食糧及び牧草の兼用産地、中部旱魃帯の乾燥帯草地、南部山区退耕植草からなる優良品質の牧草産業帯。以上のような特色優勢産業の地域化分布は、クコ生産の中寧県、馬鈴薯生産の西吉県、灘羊生産地の塩池県、全国最大のセレン西瓜生産基地と集散地となった中衛市、そして乳牛養殖規模と養殖レベルを誇る呉忠市利通区等、産業県としての発展は、西北地域の先頭を行くレベルにある。

 1.2農産品加工システムが徐々に形成された
 2007年末までに、全自治区の農産品加工企業は8943社に達し、そのうち一定以上の規模の企業が307社、収入が1億元を超える企業は25社、主な農産品転化率は年45%に達し、一定規模以上の農産品加工企業の生産総額は100億元に上った。全自治区のクコ加工企業は138社、そのうち、一定規模以上の企業は22社で、クコ酒、クコ油、クコ果汁、クコ茶等多種にわたる一連の製品が生産されており、生産量に対する加工率(干果を除く)は年20%を上回った。馬鈴薯澱粉加工企業は約4000社近くあり、一定規模以上の企業は約100社で、年間150万トンの馬鈴薯を加工することができ、中国における重要な馬鈴薯澱粉生産基地となっている。乳製品加工企業は28社で、2007年には13万トンの液体ミルク及び各種の粉ミルクを5万トン生産し、販売収入は12.2億元に達した。清真牛・羊肉の加工企業は7社ある。ワイン生産企業は16社で、年生産量は2万トン、全国のワイン生産量の5%を占める。食糧加工企業は、年間で米18万トン、中•高品質の小麦粉20万トン、トウモロコシ澱粉60万トンの加工能力を持っている。草製品加工企業は10余社あり、粗飼料関連(梱包乾草、細切乾草、ヘイキューブ、ヘイウエファース、ペレット)の飼料を84万トン加工できる。

 1.3農産品の地域外流通局面が徐々に現れている
 寧夏は市場開拓戦略を実施し、流通企業、仲介組織、大口顧客という流通システムの構築に力をいれ、特色優良品質の農産品、特に鮮度の高い農産品の効果的な流通を保証することによって、農業経済効果と利益を高めた。2007年、寧夏クコの干果としての流通量は国内市場シェアの46%(金額ベース)を占め、付加価値の高い製品が東南アジア、欧米など30カ国に輸出され、年収入約2000万ドルを獲得した。クコの輸出量は全国一位である。「セレン西瓜」は北京、広州、深圳等の主要都市で安定した市場が形成されており、都市部への出荷量は年間62万トンで、総生産量の79%を占める。水産品産業に関しても、寧夏は西北地域における重要な集散地となっている。また、霊武の長棗は上海や広州地方に出荷され、中寧の丸棗は南部の成都等の地方に出荷され、売り上げを大幅に高めている。

 1.4農民経済収入が徐々に高まる
 2007年、全自治区の農民一人当たりの純収入は3180.8元で、前年より15.2%増え、増加幅が全国平均より高かった。農民の増収ルートは、以下である。①特色優勢産業からの収入。全自治区の農業産業構造調整と特色優勢産業発展に力を入れ、主な産地の農民の純収入の半分を特色優勢産業からの収入が占めるようになった。②農業産業化からの収入。農業の産業化は農村の第二・第三次産業を振興させ、従事人口が63.8万人にも達し、20万人の農民が農産業加工企業に吸収された。③出稼ぎによる労務収入。全自治区農村の労働力移転就職は約80万人となり、農村労働力の30%を占める。労務総収入は36.4億元、出稼ぎによる一人当たりの現金収入は5000元で、農民一人当たりの収入の三分の一、南部山区では半分を占めることになった。また、技能トレーニングにより、農村労働力の質と能力が顕著に高められている。

2 調査の結果と分析
 2.1農民の収入状況
 2.1.1食糧穀物の収支状況
 調査対象は黄河灌漑区の農家(表1)であり、調査結果をまとめたものが表1である。調査した作付農家は56戸、1戸平均栽培面積は0.37haで、1.2人の労働力を用いている。内訳は、小麦生産33戸:平均栽培面積0.15ha、水稲生産28戸:平均栽培面積0.17ha、トウモロコシ生産32戸:平均栽培面積0.2haである。表1により、食糧穀物栽培の経済利益が相対的に低いことが分かる。すなわち、農業従事戸が1.5人の労働力で0.6haの耕地を耕した総収入は4576元(598+1382+996+1600=4576)で、政府の補助金500元を加えても、5076元にしかならない。この収入は、一家族の生活を維持するのがやっとという低いレベルである。

 2.1.2経済作物の収支状況
 調査対象地域は黄河灌漑区と中部旱魃帯の農家(表2)であり、その結果をまとめたものが表2である。調査農家は35戸、1戸当たりの作付面積は0.35haで、平均して1.5人の労働力を用いている。内訳は、クコ生産15戸:平均栽培面積0.22ha、西瓜生産8戸:平均栽培面積0.1ha、向日葵生産5戸:平均栽培面積0.07haである。表2から分かるように、クコの収入は比較的高く、0.67ha(≒10ムー)のクコ栽培で純収入が3万元近くになる。これは優勢特色産業政策の効果でもあり、クコ産業の流通システムが既に形成されているためでもある。西瓜、特に「セレン西瓜」の生産は667㎡(≒1ムー)当たりの純収入が1000元で、農民のもう一つの脱貧致福の道である。

 2.1.3養殖業の収入状況
 牛肥育戸の調査対象は、原州区農民合作社(表3)である。表3からわかるように、牛一頭の肥育によって1090元程度の収入があり、比較的経済効果が高い。しかし、繁殖用母牛の飼育の年間コストは1100+1260+60+200=2620元で、それに加えて9ヶ月間の子牛の飼育費1965元を加えると、合計4585元となり、収入3800元を差し引いても785元の赤字である。食用豚は、中衛市と青銅峡市(県レベル)の養殖戸を調査して得たデータで、1頭当たりの純益は423元で、経済効果が高い。羊養殖調査は平羅県を対象にして行ったが、2ヶ月の肥育期で1頭当たりの純益が85元、経済効果がかなり高い。しかし、雌羊の飼育コストは一日当たり1.5元、一年で550元になる。繁殖率を150%で計算すれば、280元(子羊1頭当たりの販売価格)×150%=420元となり、実際には130元の赤字が出る。2007年の養殖業経済効果は、肥育牛›豚›肥育羊›乳牛›鶏の順になった。



 2.2優勢特色産業の効果と利益
 2.2.1クコ産業
 中寧県を中心とするクコ産業帯では、栽培面積が3.3万hm2、乾燥クコの生産量が年間7万トンに達する。調査によると、1トン当たりの販売価格は1.8万元で、総生産額は12.6億元に達したという。1ムー当たりの投入資金は1650元であるのに対し、収入は4500元で、投入産出比は1:2.73となり、1ムー当たりの純収入は2850元である。

 2.2.2清真牛・羊肉産業
 肉用牛の飼育が150万頭、羊1055万頭で、食用肉の総生産量は17.4万トンであるので、1kg当たり4.2元の純利潤で計算すれば、牛・羊肉の総利潤は7.31億元になる。羊の肥育周期は2ヶ月で、1頭当たりの純収入は85元、牛の肥育周期は6ヶ月で、1頭当たりの純収入は1090元である。

 2.2.3牛乳産業
 全自治区の乳牛飼育数は32万頭で、生乳の総生産量は95万トン近くに上る。生乳1ℓの純利潤を0.6元で計算すれば、養殖戸の乳牛一頭当たりの年間純収入は3500元になる。

 2.2.4馬鈴薯産業
 南部山区と中部乾燥地帯を中心に、栽培面積は22.3万hm2で、年間の生産量は350万トン、寧夏において栽培面積が最も大きい農作物である。1kg当たり0.70元で計算すれば、生産額は24.5億元に達する。推計によると、667㎡当たりの馬鈴薯栽培コストは350元で、農家の生産した馬鈴薯の年間利潤は667㎡当たり490元となるという。

 2.2.5環香山地域のセレン西瓜産業
 栽培面積は4.9万hm2で、総生産量は78.6万トンである。施設農業は黄河灌漑区から丘陵部へ進んでいる。

 2.2.6優良食糧作物産業
 黄河引水灌漑区を中心とし、水稲、小麦、トウモロコシ生産が含まれる。栽培面積は32.3万haで、優良品質の作物生産量は220万トンに達する。
 主に賀蘭山東麓に分布する葡萄産業帯では、葡萄栽培面積は1.5万ha、年間生産量は8万トンである。そのうち0.9万haが醸造用葡萄栽培で、年間4万トンを生産している。
 霊武市-中寧-紅寺堡-同心県-海原県の産業帯が形成されている紅棗の生産は、栽培面積3万hm2、年間生産量4.5万トンに達する。
 優良品質の牧草産業は優良干草を年間450万トン生産している。

3 存在する主要問題
 3.1食糧作物の経済効果が低く、農民の増収に影響している
 中国では近年来、食糧の最低保証価格や直接補助等、食糧生産支援に関する農民優遇政策に力を入れている。2008年、寧夏は農業用材料総合補助金の標準を二回引上げており、山区の灌漑耕地ではムー当たり50.1元、旱地(雨水に頼るしかない耕地)ではムー当たり13.4元の補助金が得られる。黄河灌漑区及び黄河引水灌漑区における食糧生産農民への直接補助政策の耕地補助はムー当たり15元である。各種の農民優遇政策の実施によって農民の収入は増えた。しかし、穀物の単位生産量及び総生産量はすでに高レベルに達しており、さらなる増量は難しい上、化学肥料、種子、農薬等の農業資材価格が上がりつづけているため、農民の食糧生産コストが高くなり、単位面積の効果利益が下がる結果となった。調査結果によると、小麦、水稲、トウモロコシを生産する場合、生産コストを除いた実際の収入はそれぞれ667㎡当たり260元、531元、640元となり、クコ、スイカ、ヒマワリといった経済作物生産を生産する場合の実収入667㎡当たり2850元、910元、400元と比べた場合、食糧生産の収入が低いことが分かる。食糧生産だけでは家計を支えることが難しいという原因から、農民の食糧生産に対する意欲をそぎ、粗放な耕作や不耕地が増えるという現象が現れている。

 3.2農産品市場流通システムが未発達であり、販売方法が立ち遅れている
 産地市場や卸売市場と末端消費市場からなる農産品市場システムが完備されていないことにより、農産品が流通せず産地に残ってしまうという事態が起きている。特に2007~2008年に農村部で施設農業と統一栽培が促進されたが、流通販売手段が立ち遅れたことにより、ハウス栽培の効果が十分に果たせず、農民の積極性をある程度減少させた。

 3.3農産品の加工能力が低く、付加価値も低い
 現在、寧夏の農副産品加工分野の発達は遅れている。一部の農産品加工優良企業は、農家との連携不足で利益還元の手段が発達しておらず、農産品の加工転化率が低い。例えば、中寧県のあるクコ産業中堅優良企業の加工転化率は8.8%しかない。農産品の加工レベルが低いため、持続的な付加価値化の実現が困難であり、農民の増収も難しい。

 3.4農民扶助が不足しており、高める必要がある
 近年来、自治区党委員会及び政府は、様々な農民優遇政策を実施し、農業の発展を指導しようとしている。時間と情勢の変化につれて、一連の政策について、さらに完備・強化させる必要が出てきた。例えば、清真牛・羊肉産業は寧夏の優勢特色産業であるが、牛や羊の肥育は経済効果が高いが、母牛や母羊の飼育は赤字が出る。政策の支持がないため、現在、母牛•羊の飼育総頭数は減少しており、清真牛•羊肉産業の持続可能な発展に大きく影響している。養豚の経済効果は良いが、漢族が集中している地域の主要産業とした方が良いだろう。また、農民の貸付金難が依然として顕著である。中寧県を例にとれば、2007年、全県で26,775戸の農家が農村信用社の貸付金28,765万元を必要としたが、実際に貸し付けが行われたのは必要な金額の25.7%に当たる7,389万元だけで、33.3%の農家しか貸付を受けることができなかった。

4 提案
 農業の根本的活路は農業の経済効果を上昇させることである。寧夏においては、恵民利民政策の完備と強化、産業化レベルの上昇と優勢特色産業の着実推進によってこそ農業経済効果の上昇が実現できる。調査研究の結果から、寧夏の農業経済効果の上昇を妨げている問題について以下のように提案する。

 4.1食糧生産の補助レベルを更に高める
 食糧生産補助政策を実施する目的は、収入補助をすることで農民の増収を図り、食糧生産に対する積極性を促進することである。既述のように、2008年、自治区は農業用材料への総合直接補助基準を二回高めた。しかし、最近の農業用資材価格の高騰により、食糧生産補助の効果が相殺され、農民の実際の収入は減少した。中央政府は、食糧の買上げ価格を上げた上で、食糧生産補助の基準を食糧生産直接補助と農業用材料の総合補助をムー当たり100~150元までに高める必要があることを提案した。そうすれば、農民の食糧生産面積の拡大と増収、及び食糧生産の積極性の促進に有利であり、土地の利用方法にも適している。

 4.2母牛(母羊)養殖への政策的補助を強化する
 母牛養殖の収入が肥育より低いため、母牛の飼育数が減り、食肉牛飼育産業の発展に影響している。母牛飼育を奨励するために、補助金(母牛と良い品種の子牛に頭当たり300~500元)を出すことが必要である。また、一定規模の母牛繁殖農家に対しては、母牛繁殖補助金のほか、標準化した飼育暖棚(冬の防寒施設を備えた牛舎)、サイレージをつくる発酵槽、草粉砕機、牧草収穫機などの基礎的設備導入への補助政策を実施するべきである。

 養羊は寧夏の伝統的な産業であるが、封山禁牧が行われて以降、舎飼いに変わってしまったので、飼料のコストが大幅に増えた。舎飼養羊の経済効率が低いという問題を解決するために、自治区は幾つかの牧草生産と養羊及び品種改良の補助政策を制定した。最近では、国内外から多産品種の肉用羊を導入して交雑改良し、肉の生産量を高めている。しかし、食肉用の羊雑種改良が完成されておらず、母羊の飼育は利益が少なく、赤字になる。羊産業の発展のために、政府が母羊の飼育に1頭当たり30~50元の政策補助をすれば、農民の雑種改良羊に対する認識を変えることができ、母羊飼育の経済効果を高めることができる。

 4.3農産品加工企業の規模拡大を十分に重視する
 農産品の加工工業を発展させることは農業及び農村経済構造調整の戦略重点であり、継続的な農業効果の上昇や農民の増収だけでなく、農業の全体的なレベルアップと競争力強化に有利で、中国における伝統農業から現代農業への転換を加速させることにも繋がる。寧夏の農産品加工業レベルは低く、現代化と新農村建設の発展要求に適応していない。そのため、①非均衡発展戦略を実施する。農産品加工の種類は多く、始めるのが簡単なため、競争が激しい。そのため、発展政策上では地域内の資源優勢と産業特長によって特色産業を形成し、優先的に発展させるべきである。②相対的集中・合理的分布の原則に基いて、地域化、専業化、集約化、商品化の農産品生産基地建設を基礎とし、企業が優勢産業と優勢地域に集中するよう導き、優勢農産品の地域分布形成を促進し、農業産業集中化レベルと農業競争力を徐々に高める。③中央政府がすでに提出した全ての扶助政策を実施するほか、地方政府は地域の実際の状況によって、農産品加工業発展の扶助政策を制定し、農産品加工業に従事する個人及び企業を励まし、資金、用地、用水、電力などの面において優先政策を行う必要がある。

 4.4農産品の流通システムを整備する
 ①農産品流通の基礎施設の建設を進め、包装、加工、貯蔵、運送等の施設機能を整備する。②多数の農産品新型流通企業を育成し、流通システムを完全化することは、寧夏における施設農業の進展の基礎であり、相対的な生産過剰問題と末端消費市場での低品質・高価格問題を解決する最適な方法でもある。③農産品情報ネットワークを強化する。企業と卸売市場は、それぞれ専用の情報ネットワークをつくるべきである。また、自治区内の各卸売市場間も内部の情報ネットワークを整備し、定期的な価格報告制度と重要情報に関するフィードバック制度を実施し、市場情報、農業科学技術情報、管理情報、生産指導、販売案内等を正しく把握するべきである。④「グリーン通路(有機野菜等に対する特別な流通制度)」を開設する。流通サービスに関する優遇政策を制定し、流通従業者に「グリーンカード」を配布して、流通経営者の合法権利と利益を保護する。また、農産品流通市場の管理費用、衛生費、交易費、及び運送中の道路使用料等の負担を適正に減らすべきである。

 4.5多元化農村融資メカニズムを健全化する
 農民の増収に必要な資金提供の基礎を築くために、新農村建設に対応する村鎮銀行、貸付金信用社、農村資金相互合作社を建設し、農民が資金が必要なときに貸付金が得られるようにし、農民の生産発展や小規模プロジェクトが実施できるようにする。また、農業生産や養殖業、特色産業の生産周期や生産季節に合わせて貸付金を出すことにより、農業生産における貸付金の役割を十分に発揮させることも必要である。

 4.6漢民族の地域において、養豚を重点発展産業とする
 豚肉は中国人の最も主要な肉食品である。最近、発達した省(区)の農村での第二、三産業の進展により、養豚業が辺境地の省(区)に移ってきた。寧夏は回族自治区でありながら、漢族の人口が多数を占めているため、養豚を漢族地域の重点発展産業とするべきである。養豚の資金投資は小さく、技術要求も高くないため、一人の労働力で1回20頭を肥育することができ、2007年の1頭当たり423元の収入で計算すれば、年に2回の養豚で、労働力一人当たり約1.7万元の利益を得ることができる。華北地方及び中原地方において、豚肉の市場需要量が大きい。