1.半旱魃黄土丘陵地区の生態環境建設の実践と探求

---寧夏・彭陽県生態環境建設のやり方と体得---
郭富国(彭陽県人民代表大会常務副主席)

 彭陽県は、1983年に旧固原県(現在固原市原州区)から分離し、設立された県であり、中国 で最も早く指定された貧困扶助の貧困県(国務院が指定した「三西」地区…甘粛省の隴西、定 西および寧夏の西吉・海原・固原地区)の一つでもある。総面積2528.6㎢で、12郷鎮、156行 政村を管轄し、総人口25.3万人、そのうち回族が29.9%を占め、人口密度は100人/㎢である。

 彭陽県は寧夏回族自治区の東南部、六盤山地区に位置し、東経106°32′~106°58′、北緯 35°41′~36°17′、海抜1294~2416ⅿである。年間平均気温は7.5℃、年間日照時間2518.1時 間、輻射量127.6㎉/㎠、無霜期155日で、≧0℃の積算温度3236℃、≧10℃の積算温度2660℃、 年間平均降雨量450㎜である。四季の分布は春18%、夏52.8%、秋27.5%、冬2.5%であり、7~ 9月の降水(ほとんど豪雨)は年間降水の60%を占める。温帯半旱魃気候区に属しているので、 典型的な大陸性季節風気候である。冬の寒さが長く、春の暖かさは遅く、夏の暑さは短くて、秋 の冷たさが早く、旱魃、雹,洪水などの自然災害がしばしば発生するのが気候の基本的な特徴で ある。土壌は黄綿土と黒壚土、植生は森林草原から灌木草原への過度地帯で、草原被覆が主体と なっている。

 気候、地形と土壌被覆および開発利用の目的に基づいて、全県を3つの自然区域に分けること が出来る。①北部黄土丘陵区は、県の総土地面積の64%を占め、谷が縦横に走り、丘陵が起伏 し、ばらばらでまとまりのない地形で、人口の居住は分散している。②中部・紅河、茹河の両側 の勾配台地は、県の総土地面積の24%を占め、平地耕地10万ムー、台地耕地10万ムー、既に開発 された灌漑耕地10万ムーで、全県の農業経済の中心地区である。③西南部土石質山区は、県の総 土地面積の13%を占め、六盤山の主峰の外延区に属し、地形はばらばらで規則性がなく、土層は 浅く、ところどころ砂が剥き出しとなり、県の退耕還林移民の重点地区である。


Ⅰ.現状と問題
 県設立初期、経済と社会発展の主要な問題は以下の3つであった。

1.農業基盤が脆弱である。全県には「川、台、塬(ゲン…川の浸食によってできた黄土高原特有の切り 立った台地)」地形の耕地が20万ムーあり、その大部分が紅川、茹川の沿岸地帯に分布している。 僅かに3万ムー足らずの灌漑耕地があったが、水利設備が長年修理・整備されず、正常な役割を果 たしていなかった。灌漑施設のない基本農地(人工の段々畑)も僅かに3万ムーで、森林被覆率は3 %未満で、12万ムーの人工草地は開墾され或いは荒地として放置されていた。70%を占める穀物 生産用の耕地は、秋雨の季節には地面が剥き出しとなり、乱耕作乱収穫のため、被覆は稀で、農 業生態はバランスを失い、水土流失が激しく、毎年の土壌侵蝕は6,500t/㎢にも達していた。

2.経済構造が単一である。彭陽県は農業を主とし、農業は栽培業を主とし、夏の穀物は冬小麦を主とす るという「一頭沉」(一方に偏った)経済が不均衡に発展していた。全県のGDPは、第一次産業が75.6 %を占め、工農業の生産総額では農業が95.24%、農業生産総額においては栽培業が70.9%を占め、 県民所得においては農業収入が85.3%を占めていた。

3.農民の生活が困難である。「四料」(燃料、飼料、肥料、木料(木材))はいずれも深刻に不足していた。 1983年、農民一人当たり穀物生産量は226㎏、純収入は55元で、城郷(都市と農村)の住民一人当た りの預金残高は2.56元だった。全県総面積の64%、総人口の65%を占める地区の人と家畜の飲用水 の確保が困難であった。更に交通も不便で、情報が閉ざされ、農民の生産と生活条件は厳しく、80% の農村住民の衣食問題を安定的に解決する事は困難な状態であった。


Ⅱ.進展と成果
 劣悪な自然環境と経済情勢に直面して、彭陽県の党委員会、政府の歴代のリーダーは共通認識を形成し、 貧困と立ち遅れの状況を徹底的に変え、生態環境改善に力を尽くし、被覆率を増やし、水土流失を治理して 農業の基盤を築き、「生態立県」の道を歩もうと決心した。23年のたゆまない努力で困難を克服し、現在、初 歩的な成果をあげた。

1.農業生態環境が明かに改善された。“山頂には沙棘(スナナツメ)、檸条、山桃の帽子をかぶり、山 腹の斜面や畦には杏の木のスカートを履き、庭の周りにはリンゴ、梨、桃や山椒の木を植え、谷や 道路の両側にポプラ、柳、椿(チャンチン、シンジュ)、エンジュの樹の靴をはき、谷や台地の農地の 周りに植林をし、土石質の山区では封山と造林を結合し、落葉樹と針葉樹を混合して植林する。 ”2005年と1983年を比較すると、林草の被覆率は34.2%から61%に、森林の被覆率は3%から 28.5%にまで高められ、小流域治理は累計して1,523㎢となり、治理程度は11%から65%に高め られ、「山を緑化し、水を綺麗にし、土地を平らにし、道路は四方八方へ通じる」という目標を初歩 的に実現させた。

2.農業の産業構造が合理的なものになりつつある。2005年を県ができたばかりの1983年と比較 すると、全県GDPのうち第一次産業の生産額は75.64%から43.1%に下がり、農林牧漁業の生 産総額のうち農業生産額の比率は70.9%から53.6%に下がり、牧畜業の生産額は23.35%から 44.35%に上がってきた。第三次産業の生産額も15%から38.5%に上がってきた。県は食糧生 産を基礎に、草畜、林果(果実)、労務を主体にし、また、特色栽培など多角的経営を平行して進 める構造が初歩的に形成され、農業の持続可能な発展の力がますます強まってきた。

3.農民の収入水準が大いに高められた。2005年、農民一人当たりの穀物占有量は519.8㎏、純 収入は1,764元となり、寧夏南部山区8県のうち、絶対値と成長速度は第一位で、1984年の9.1 倍(農業調査隊のデータによる)に増えた。そして、収入構成も質的に変化し、栽培農業中心か ら草畜、林果、労務を主とし、商業貿易サービス、建築材料など多元的に発展してきた。

4.農村経済が良性循環に入ってきた。全県で新しく建設された基本農地は80万ムーで、累計して 一人当り平均3.2ムーとなった。「長城塬水利工程」(水利施設)の新設、揚水センター20箇所、 ポンプ付井戸80箇所、土窖(地下に掘った貯水用の穴)5.1万箇所を新しく建設•修繕し、灌漑でき る耕地面積を新しく7万ムー増やした。草畜、林果、馬鈴薯産業の発展効果が顕著で、農民収入 を増加させるための支柱産業となり、地膜トーモロコシ、野菜果物、菌草、薬剤など特色ある栽培 産業が安定的に発展してきて、農村経済の新しい成長ポイントとなった。特に、退耕還林プロジェ クトの実施は多くの農村労働力を土地の束縛から解放し、農村を出て城鎮(都市や町)或いは二、 三次産業に向かわせた。労務輸出と農村に戻ってくる知識青年が年々増加したため、農村の労 働力構造が向上し、農村産業の科学技術文化的素質が全面的に引き上げられ、農村経済の持 続的で、迅速、健全な発展に新しい活力を注ぎ込んだ。

 昔は荒れ山やはげ山ばかりだったが、今は至る所に樹が茂り、穀物や果物がよくとれ、幾重に も段々畑が連なり、家畜がよく繁殖するようになった。生態環境の改善と生態農業の発展は、山 河が美しく、経済の繁栄と社会の調和の取れた生態型新農村建設をもたらした。2005年、全国人 民代表大会第三次会議は、「全国黄土高原類型地域において‘彭陽経験’を普及するための建 議」を全国十六大重点処理建議の一つに入れ、水利部、国家林業総局、農業部などの部門が監 督・実施したために、緑の彭陽、生態の彭陽というブランドが形成され、彭陽県の知名度も生態環 境建設によって高められた。そして、彭陽県林業建設の成果は上級党、政府からも認められ、 「全国造林緑化先進県」、「全国経済林建設先進県」、「自治区生態建設先進県」など特別栄誉を 得、県の林業管理部門もまた何回も全国または自治区、市、県の「先進部門」に選ばれた。


Ⅲ.やり方と経験
 彭陽県の生態環境建設は、「改土治水、緑化荒山」(土地改良と水の治理、荒山の緑化)を突破口とし、民 衆の衣食住問題を安定的に解決し、農民の収入を安定的に増やすことを目標にし、生態、経済、社会の三大 効果を相互に 統一させるという要請に基づいて、「水土保持、林草先行」のやり方をあみだし、林業建設を生態環境の中で 最も重要な位置に置いてきた。

 林業建設の中での成功経験とやり方は以下の四点である。

1.「工程営造、技術請負、目標管理」(プロジェクトの実施によって植林し、技術を学んで請け負い、 目標を管理する)という管理方式を堅持してきた。林業建設は、各部門がそれぞれに任務を持ち、 住民には負担があり、作業には目標を立て、検収には奨励と懲罰がある。

2.造林の季節計画では、春に整地し、秋には穀物の茎を切って植林地に鋤き込んで植林する。 夏と秋に貯水することによって、旱魃による苗の枯死、低活着率の問題を解決した。

3.施策の実施においては、「五統一三集中二実行」を推し進める。即ち、計画設計の統一、苗提 供の統一、技術基準の統一、組織施工の統一、検査引取りの統一という五つの統一、郷鎮単 位での労働力の集中、期間の集中、会戦(工事)の集中という三つの集中、苗を確実に準備す る、土地を確実に準備するという2つの実行である。

4.実行方式では効果を重視し、典型(モデルとなる事例)を養成し、全県に普及する。県には、例え ば大溝湾、麻喇湾、高建堡、黒窑灘、鷹鳩嘴など規模が大きく、レベルの高い科学技術モデル プロジェクトや張有清、楊万珍、馬成录、李志遠など数百人の林業によって貧困から脱出して生 活を豊かにした科学技術モデル農家、重点農家が次々と出てきて、輻射、牽引の役割を果たし ている。
 特に1994年から全面的に推進した「88542」(退耕還林で植林する際の穴の深さ、幅、畝の幅、 高さなどを表す数字)の標準整地工事は、林業建設を小流域綜合治理、基本農地建設、扶貧開 発と相互に結合し、全県の林業建設事業を基地化、規模化、産業化、高速、高効果へと発展さ せ、干ばつ地造林の持続可能なやり方を創造し、量から質への発展の飛躍を遂げた。


Ⅳ.実践と探求
 県設立以来23年、生態環境建設事業も又、苦労し、辛抱強く探求してきた23年であった。23年の歴史を振 り返えると、成功の喜びもあれば、失敗の苦しみもある。特に林業建設においては、「毎年造林してきたのに、 林が見えない」、長年の植林で出来た林もまるで“小さな爺さん”に過ぎない(なかなか成長しない)という状 況であった。我々は躊躇し、迷い、過去のやり方を否定したこともあった。しかし、一回一回の痛ましい教訓は、 我々を反省させ、総括させ、進歩させた。
 また、生態環境建設の推進は、小流域を単元とし、山、水、農地、林、道を統一的に計画し、橋梁、丘陵、谷、 斜面、塬の綜合的治理と農業、林業、牧畜、副業、漁業を全面的展開の軌道に乗せるように推し進められた。 彭陽県の生態環境建設の実践の中から、半旱魃黄土丘陵地帯の貧しく立ち遅れた状況を変え、農業の持続 可能な発展を実現するためには、必ず生態建設を担体(キャリア)として、以下の六つのキーポイントを把握する ことを重視しなければならないことが認識された。

1.大認識。半旱魃黄土丘陵地帯において、植生を生成し、生態を回復することは長期的な大事業であ り、何代、十何代あるいは何十代のたゆまない努力でやっと実現できる。そして、林業建設は生態 建設を主体にして、関連する範囲が広く、政策性が高く、自然に制約され、作業の難度も高い社会 的システムプロジェクトであるため、急速な成功を求め、一気に成し遂げることはことではない。この ことについては彭陽県の歴代の党委員会、政府は十分に認識している。そして、彭陽県の最大の 政治的業績は、山河の改造であり、貧困を治め、富をもたらすことであって、各級幹部の最大の政治 的業績評価もまた住民が実際の利益を得ることであることも十分に認識されている。「生態立県」の 方針を堅持して動揺せず、「二十年一日如く、一歩一歩着実にやり続け、一代また一代と引き継ぎ、 代々新しい発展を追求する。」これが彭陽県の林業建設が成功を収めた根本的原因である。

2.大計画。計画は土地の事情に合わせて適切な方策を立て、長期的に管理し、指導者の移動によって も変わる事はなく、指導者の関心事の変化によっても変ることはない。彭陽県の生態建設の計画は、 県が設立された時、県党委員会、政府が西北農林科学大学、中国科学院水利部水土保持研究所、 寧夏農学院、寧夏農林科学院の専門家を招へいし、地元の林業技術者、農村の人材と共に何回も調 査し、論証したうえで制定されたものである。また、全県の下から上へ(一般農民から県知事などの幹 部まで)何回も討論し、修正したのち、最後に県の人民代表大会の審査を受け決定したものである。 20年来、六期の県党委員会、政府の七代の指導者は、一代一代しっかりと任務を引き継ぎ、決まられ た計画によってやり抜き、生態林業建設の安定性と連続性を保証した。
 「彭陽精神」は林業建設を総括して抽出されたものであり、彭陽県の生態建設の成果は、林業建設 を強固にし発展させたものである。彭陽林業建設が今日の成果を遂げたのは、科学的な計画を制定し 、確固不動として実施した賜物である。これは非常に重要なことで、彭陽県の各級幹部が科学発展観 と正確な政治業績観を全面的に実施した具体的な体現である。

3.大工程。彭陽人が実践の中でまとめた「88542」の標準整地工事は水の堰き止め、貯水、栄養のある 土の還元、土壌改良を一体化させ、樹木の生長によい環境を創り上げた。計算によれば、この工事は 1994年に実施されて以来、高さ1m、幅1mに掘り上げて作られた土手は、地球を2周半する計算となり 、外国の専門家によって「中国の生態長城」と言われている。彭陽に来て見れば、至る所に人工的に 改造された痕跡、見渡す限り活気に溢れた景色が目に入る。

4.大統一。政府が統一的に計画し、水利環境部門は実施条件を創り上げ、他の各部門が投資して実施 する。その後、それぞれ勤務評定をして功績を記録する。彭陽県の林業建設が成功した一つの重要な ポイントは、過去の林業が林業だけをやり、各部門はそれぞれ独立して業務を展開するという受動的 な立場から抜け出したことである。生態環境建設をキャリア(担体)として、小流域を単位に総合的に計 画する。そして、村を単位として全体的に推進し、農、林、水、牧などのプロジェクトをまとめて一体的に 運用し、プロジェクト、生物、耕作措置を緊密に結び付けて、林業建設と生態環境治理を同時に展開し、 「生態立県、林業先行」の理念を樹立して、林業建設のためにいまだかつてない発展環境を作り出し た。「植樹造林、生態改善」は、彭陽県の20年以来の発展の中で最も強力な声となった。建設の進度 に基づいて実施する工事を決定し、県党委員会、政府は関連部門と協力して現場において執務し、任 務を分け、責任を明確して分担・協力し合う。また、計画は一回で成功させ、措置は一回で成し遂げ、 質量は一回で標準に達するようにする。一つの流域を治理し、一つの産業を開発し、民衆を豊かにする。 これによって、「部分の和が大きな全体を作る」効果を成し遂げた。

5.大会戦。彭陽県北部の黄土丘陵地区は、人口密度が40人/㎢程で、分散居住している。小流域を単位 とする生態建設プロジェクトは、農地、水利、林業、道路、草栽培、家畜養殖を合わせて実施するシステ ムプロジェクトであり、プロジェクトの量が大きく、任務が重く、基準が高く、また季節性の要求が高い。大 会戦とは、工事量の大きさによって、村を単位に、あるいは郷を単位として、労働力を組織動員して殲滅 戦を行うことである。

6.大請負。大請負とは「双線」請け負い、目標管理のことである。重点生態林業建設プロジェクトは、全て 行政幹部が進度と規模を請け負い、業務幹部が技術と効果を請け負うという「双線」請け負い方法で、 責任は人に配分し、公然非公然の方法で検査し、追跡して効果を調査し、重荷は皆で担ぎ、誰もが負 担を分担する。そして、目標・任務の進展状況を幹部の給料や業績評価に連結するようにする。危難を 救う重要な仕事の最前線で幹部を試し、選抜し、重用し、実施していない仕事と実行してない者の責任 を追及する。いったんやろうと決心したことは最後までやり抜き、実力のある者を優先し、よくやる者を支 援し、できない者は支援しないという仕事の原則を立て、全県をあげて創業の雰囲気をつくりだした。


2.いかにして寧夏南部生態農業モデル区を建設するか

 人口と資源環境の関係が著しく均衡を失えば、一地域の資源ではその地域の人々を養うことは難しくなる。寧 夏南部山区の生態環境を回復・改善し、農民の貧困克服、生活の豊かさを実現させることは我々が直面してい る厳しい課題である。

 国務院が公布した『寧夏経済社会発展を更に促進することに関する若干の意見』は、寧夏黄土丘陵生態農業 モデル地区を建設することを提起した。この発展目標に対して、どのようにして勢いを持続しながら、現在打ち立 てた成果が将来にも利益をもたらすような大事業を展開するのか。

 寧夏黄土丘陵の範囲には、固原市の全域と塩池県、同心県、海原県の一部が含まれている。この地域において は、中国西部地域の生態問題および農業、農村、農民問題が最も集中的で、最も突出し、最も普遍的に反映され ている。扶養力理論による分析結果に基づけば、旧固原市6県が、寧夏川区(黄河灌漑区)と同じ時期に「小康目 標(衣食に困らないややゆとりのある社会を建設する目標)」を実現しようとすれば、2020年には扶養能力を超え る人口は149万人となる。土地資源の扶養力に基づけば、2020年には38万人が扶養能力を超え、水資源を制限 要因とした場合には68万人が扶養能力を超えることになる。

 寧夏南部山区の極度な貧困問題と深刻な生態問題は、互い交錯し、互いに因果関係があり、自然的客観的な 原因もあれば、人類の生存圧力の加重と不合理な資源開発利用の原因もあって、林草被覆の破壊、水土流失 の深刻化、土壌の絶え間のない退化、農業生産条件の継続的な悪化を引き起こした。その結果、人口と資源環 境の関係が著しくアンバランスとなり、一地域の資源でその地域の人口を養うことができなくなった。如何にして 当該地域の生態環境を回復・改善し、農民の貧困の克服と生活の豊かさを実現させ、農業の持続可能な発展を 実現するかが我々が直面している厳しい課題である。

 多年にわたる扶貧開発事業の実践は、「点」或いは「片」の局部的な治理、個別的政策の実施であって、それ では地域の生態環境退化の現状を根本的に転換させることは難しく、また地域経済の長期的安定的な発展を 支える役割を果たすことも難しいことを我々に教えてくれた。従って、科学的発展観を徹底的に実行し、生態経済 学、持続可能な発展理論を運用して、生態の回復・再建を優先的に展開し、土地の生産力と農民の経済収入を 引き上げることを生態農業建設の目標とし、南部山区黄土丘陵区の生態環境改善と経済が調和のとれた発展を する現代生態農業モデルを探求しなければならない。

 国が西部大開発政策を実施して以来、特に自治区第九回党代表大会以降、自治区党委員会と政府が提出し た固原に対する事業方針――「生態優先、草畜先行、特色農畜産、産業開発」――は、南部山区の生態農業 の方向性を明確にした。南部山区各県区の多くの有益な実践と成功経験は、更なる広範囲な計画の裏付けと なり、実践の導きとなるものである。

 生態農業は、環境と経済を調和的に発展させるという思想の下に、農業生態システム内の種の共生物質循環 、エネルギーの多段階利用の生態学原理に基づき、その土地の事情に適した現代科学技術の利用と伝統的農 業技術を結合し、地域資源の優位性を十分に発揮させる。また、「総体調和、循環再生」の原則に基づいて、合 理的組織的農業生産を全面的に計画し、農業の高生産、高効率の持続発展を実現させ、生態と経済の2つのシ ステムの良好な運行、生態効果、経済効果、社会効果の統一を達成させる。

 寧夏南部山区黄土丘陵生態モデル区の建設構想は、次のように概括できる。自然と経済の法則に基づいて、 生態回復と農業基盤建設を主な内容とし、集水・蓄水・節水による水資源の利用効率の向上の視点から、牧 草栽培による家畜の養殖と馬鈴薯栽培、労務産業を重点とし、農牧業技術の集約と普及を通して、良好な生態 機能を備え、生産が絶えず増加し、農民収入が絶えず増え続ける生態農業モデルを建設する。モデル区建設計 画が従うべき一般的原則は、第一に、生態優先と持続可能な発展原則である。第二は、綜合的調和原則である。 農業用水、農林、農牧、農畜の有機的結合、産業経営が互いに依拠しあい、促進しあう目標を実現させる。第三 は、生物措置と事業措置が互いに結合する原則である。

 地形および資源的特徴の相対的一致性、経済の発展方向と対応措置の一致性に基づいて、寧夏南部黄土丘 陵区は三つの生態農業類型区に区分される。1、黄土丘陵生態農業区。寧夏南部黄土丘陵区総面積の45%を 占め、発展方向は旱作基本農地建設と蓄水節水を中心とする水利建設を結合し、当該地域を草畜産業を主とす る農林牧を有機的に結合した特色生態農牧モデル区の建設に努力することである。2、河谷川道生態農業区。 寧夏南部黄土丘陵区の総面積の25%を占め、発展方向は、相対的に良好な水、肥料、光熱資源の優位性と相 対的に便利な位置の優位性を十分に利用することで、黄土丘陵区に率先して「小康目標」を実現する生態農業 モデル区、特色高効率農牧業商品生産基地を建設することである。3、土石山地生態農業区。寧夏南部黄土丘 陵区総面積の30%を占める。発展方向は生態建設を中心にして、当該地域を寧南山区全体及び西北地域の生 態保障機能を持つ重要な水資源涵養林基地、生態保障機能を中心とする生態モデル区を建設することである。

  生態農業建設の任務。生態安全防壁の建設は、水土資源保護と被覆回復を中心にして持続的に展開されな ければならない。そして主に六盤山水源涵養林の封育の拡大、草原周辺の保護柵、補充播種、改良工事及び 小流域治理事業が含まれる。農村エネルギー保障事業も又生態安全防壁の重要な構成部分であり、農民の生 活用エネルギー問題解決に対して、林草建設の成果を強固することが重要である。生態農業生産能力の建設 は、受動的な旱魃対応を主体的対応へ転換し、伝統的な雨水頼りの旱作農業から現代化高効率節水農業へ転 換することである。水資源の節約・高効率利用を中心にして、適切に黄河の水による灌漑とダム・井戸灌漑の面 積を拡大し、河谷川道地域の水源の保障があるところでは施設農業産業を建設し、面積を20万ムー以上にする。

 食糧保障能力の建設。長い間食糧生産量は少なくて不安定な状態にあり、生存と発展が直面しなければなら ない課題であった。食用穀物の安全確保は生態建設の成果を強固にし、特色産業、養殖業を発展させる重要な 前提条件である。優勢特色産業建設は、生態農業の核心的な構成要素であり、生態と経済の調和、人口と自然 の調和の核心的な内容である。現段階では、草畜、馬鈴薯の二大主導産業と六盤山漢方薬特色産業の生産量 の拡大、品質効果向上などを主な内容として展開し、優勢農産品加工のリーダー企業と市場流通主体を構築し、 ブランドを育成し、市場や消費者及び農業生産者を結び付けつつある。こうして企業を強くし、産業を発展させ、農 民生活を豊かにする良好な局面を形成することができる。生態農業モデル区建設は、総合性の高い事業であり、 長期的で困難の多い戦略的任務でもあるので、粘り強く継続することによってはじめて効果が現れる。

1.市・県の情況、生態環境と経済発展の関係および資源が本来持っている転化法則に対する再認識を 深める必要である。特に、水資源の高効率利用については、土地生産力の向上、人力資源の優位性 を発揮することによって発展の工夫をする。特色優勢産業に対しては一つ一つ分析研究して計画を立 て、建設プロジェクトに対しては計画を細分化して一つずつ着実に実施する。一代また一代と引き継ぎ 、一枚の青写真をとことんやり抜き、成果を見なければ絶対にあきらめない。

2.思想を開放し、発展メカニズムを刷新し、多様な形式の土地請負経営権の流動を推し進め、一定規模 の特色産業の発展・創造の条件を作り出さなければならない。より多くの金融主体が郷鎮銀行や貸付 会社などを創設するように導き、生態農業特色産業の発展に金融サービスを提供しなければならない。 農産品加工流通の企業主体の育成に力を入れ、南部山区経済の発展をできるだけ早く全国市場商品 経済の大きな流れに組み込むようにする。

3.中央や国の各種の農業支援政策を実行し、退耕還林、退牧還草、生態移民、小流域綜合治理などの 生態建設政策を着実に実行し、森林草原などに対する生態補償政策によって、生態建設保護の長期 的に効果をあげるメカニズムを設立する。

4.生態農業の公共サービスシステムの建設。サービスシステムを利用して農家と科学技術、農家と市場 を有効に結びつけるようにする。同時に、総合的にバランスのとれた方法で、自治区、市、県の農業支 援の投資力を調整する。現在の投資能力レベルで、郷鎮クラスの生態農業モデルの実験区を展開し、 典型的なモデルの役割を発揮させることは可能である。

寧夏新聞網 WWW.NXNEWS.NET 2009年2月4 日から


寧夏で1本の木を植えれば、北京に向かう沙は1粒少なくなる

 寧夏は北京へ向かう砂嵐を封じ込める主要道であり、西部生態建設の防壁である。寧夏回族自治区林業局の 情報によると、3月27日、自治区主席王正偉氏は陳情団を率いて国家林業局局長賈治邦氏と話し合った。その 結果、国家林業局は寧夏林業建設を支援するために200億元を投資することで合意した。このような金額の投資 は自治区ではじめてである。

——自治区の全国防砂治砂綜合モデル区建設プロジェクトの実施を支援する。
国家林業局計資司(統計資料局…訳者注)と治砂弁公室は、国家発展改革委員会と連合審査を行い、国家発展 改革委員会の単独プロジェクトとして投資を増やす。自治区林業局は『寧夏全国防砂治砂綜合治理モデル区建 設総合企画』を制定し報告した。計画では2020年までに、砂漠化した土地769万ムーを治理する。そのうち草の 格子状治理(稲わらなどを格子状に埋めて砂を固定する方法)65万ムー、灌漑による整地治理93万ムー、工事 と生物措置による治理304万ムー、封育、補充播種、保護柵による治理307万ムーで、計画総投資額は113億元 に達する。

——自治区の「六つの百万ムー」林業建設プロジェクトの実施を支援する。
即ち、賀蘭山東麓100万ムー生態保護林プロジェクト、黄河灌漑区100万ムー特色経済林プロジェクト、黄河両岸 100万ムー湿地保護プロジェクト、中部旱魃地帯100万ムー棗樹節水経済林プロジェクト、モウス(毛烏素)砂地100 万ムー防風固砂林プロジェクト、大六盤100万ムー水源涵養林プロジェクトで、5年計画で613.2万ムーの造林を完 成させる。総投資額は31.4億元である。国家林業局は寧夏林業への投資を増やし、「第十次五カ年計画」の期間 中に、国家林業局が寧夏林業に対して投資した金額は20億元にも満たなかったが、「第十一次五カ年計画」期間 中には50億元の投資を確保した。

——自治区の「黄河ゴールデン河岸」緑色回廊プロジェクトの実施を支援する。
生態景観林10万ムー、保護林47万ムー、生態経済林23万ムーの建設が計画されている。2009年、国家林業局 は森林防火、有害生物防治への投資を1,000万元増やす。

——自治区の葡萄産業と施設園芸建設プロジェクト発展計画を支援する。
寧夏は林業産業の発展と生態建設を有機的に結びつけて、棗、リンゴ、クコ、葡萄などの優勢特色林産業を積極 的に育成し、2012年までに新たに葡萄基地を60万ムー増やす。また、温室花卉及び温室果物を30万ムー、旱魃 地帯果物を200万ムー増やす。計画総投資額は30億元である。国家林業局は利子補給貸付金の額を増加する。

——海原県南華山150万ムー水源涵養林計画(総投資15億元)及び銀川環城高速道路両側5万ムーの緑化プロジェクト(総投資2.2億元)の実施を支援する。
国家林業局は、寧夏の投資資金ルートの拡大、国際プロジェクト資金等の獲得を支援する。

——自治区の森林生態効果の補償面積の拡大を支援する。
寧夏を天然林保護事業及び生態効果補償のモデル地区とし、生態効果補償面積を416万ムー増加する。


寧夏新聞網 WWW.NXNEWS.NET  2009年3月31日から
(翻訳;郭、校正;神田)



4.寧夏 全国防沙治沙総合モデル区を建設

6つの100万畝(ムー)プロジェクトで130万亩の緑を増す
 水資源が不足し、自然環境も脆い寧夏回族自治区は、2008年から6つの100万畝(ムー)生態林業プロジェク トをよりどころに全力をあげて全国防砂治沙総合モデル区を建設している。12月23日、寧夏回族自治区林業 局が公表したデーターによると、現在、“6つの100万畝”生態林業プロジェクトによって、既に人工造林面積13 0万畝以上を完成させた。
  国務院は「寧夏に全国防砂治沙総合モデル区を建設する」ことを提唱した。自治区政府は『寧夏6つの100 万畝生態経済林業建設プロジェクト総合計画』を打ち出した。5年の時間をかけて、5つの生態区に、4つの生 態防護帯を建設し、6つの100万畝生態防護関連プロジェクトを通して、613,2万畝の造林を完成させる。内45 3.2万畝が人工造林、160万畝が封山育林である。
 関係者の話によると、灌漑区においては、100万畝特色経済林産業地帯建設プロジェクトのうち既に39万畝 の経済林建設が完成し、モウス沙地100万畝防風固沙林帯建設プロジェクトにおいては、塩池県、霊武市を重 点に合計29万畝治沙造林が完成した。灌漑区100万畝黄河湿地回復防護林関連プロジェクトでは、既にグリ ーンルートの緑化5.9万畝、農地防護林網6万畝、黄河護岸林3.5万亩がそれぞれ完成した。
※ 畝(ムー)は面積の単位。1畝は666.7㎡。

寧夏新聞ネット 2008年12月24日付け
(翻訳:虎永興、校正:神田)


5.日本大使館≪草の根・人間の安全保障無償資金協力≫石嘴山市に医療機材の支援

「寧夏回族自治区石嘴山市恵農区紅果子中心衛生院医療機材整 備計画」等4案件の署名式を開催(09.02.17)
在中国日本大使館

 2月17日、当館における今年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件、「寧夏回族自治区石嘴山 市恵農区紅果子中心衛生院医療機材整備計画」、「寧夏回族自治区固原市原州区河川郷小中学校宿舎 建設計画」、「寧夏回族自治区西吉県興隆鎮小学校校舎建設計画」及び「寧夏回族自治区霊武市狼皮子 梁小中学校宿舎建設計画」の贈与契約署名式が、寧夏回族自治区において執り行われました。

  


【署名案件Ⅰ】

(1)案件名:寧夏回族自治区石嘴山市恵農区紅果子中心衛生院医療機材整備計画

(2)被供与団体:寧夏回族自治区衛生庁

(3)案件概要:寧夏回族自治区石嘴山市恵農区紅果子鎮において、衛生院の医療機材を整備するための資金を供与する。

(4)案件の社会的背景・ニーズ:
寧夏回族自治区最北端、ガラン山の東山麓に位置する石嘴山市恵農区は人口約20万9千人(少数民族 割合19%)、面積1,254k㎡を有する。人口の1/4以上を占める農民はトウモロコシや小麦、クコの栽培 を主な収入源としているが、耕地の多くはアルカリ性土壌であり作物の生産量が少ないことに加え、旱魃 や降雹、砂嵐、洪水等の被害が頻発する地域であるため、経済は立ち遅れており、当地住民の平均年収 は3,867元と低く止まっている。また当地ではフェロ・シリコンやマグネシウム、コークスが採れることから 工業園区が密集しており、地域病として呼吸道疾病及び心血管病の発病率がそれぞれ33.3%、30% と突出して高い。

  同区紅果子鎮衛生院(医師数9人、看護士数8人、職員8人、ベッド数20床)は、1978年創立の鎮中 心衛生院であり、同鎮及び周辺地域の住民5万人余りに対して医療サービスを提供している。同院には内 科、外科、小児科、中国医学科等が設けられており、年間のべ1万8,000人の患者を診察している。また、 同院では医療技術の向上を目標とし、定期的に医師や看護士を上級医院へ派遣し研修を行うとともに、住 民への無料の予防接種や妊婦に対する無料の定期健診などを行っており、同院は同地域の住民らには欠 かせない医療機関であるといえる。

 同院では、医療環境の改善を目指し、2007年に地方政府からの補助を受け総合診察楼の建設及び救 急車の購入を行った。しかし、同院の医療機材は老朽化や不足が目立ち、十分な医療環境の下で治療が 行われているとはいい難い。同地区は、流動人口が多く、また付近には国道110号線と包蘭鉄道が走り 交通量が多いことから交通事故も頻発しているが、機材や技術の不足から、患者の回復が遅れることもし ばしばである。また、治療困難と判断した重篤患者や妊産婦の上級機関への転送率も約13%と高い。農 村医療保険制度の普及に伴い、患者数が30%増加したことに加え、必要とされる医療レベルも高まってい る現状においては、住民に提供する治療の範囲を拡大し、より危険要素の少ない条件の下で健康回復に 専念できる環境作りを急ぐ必要がある。  
上記の状況を改善するため、医療機材の整備は急務である。

(5)裨益効果:
 本件の実施により、紅果子鎮及び周辺地域の住民約5万人の医療条件が改善され、身体的・経済的 負担が軽減される。

(6)供与限度額:87,746米ドル(2008年10月6日現在:9,915,298円、約60万元相当)

【署名案件Ⅱ】

(1)案件名:寧夏回族自治区固原市原州区河川郷小中学校宿舎建設計画

(2)被供与団体:寧夏回族自治区固原市原州区人民政府

(3)案件概要:寧夏回族自治区固原市原州区河川郷において、小中学校(9年一貫制)の宿舎を建設する ための資金を供与する。

(4)案件の社会的背景・ニーズ:
 寧夏回族自治区南部、六盤山の東山麓に位置する固原市原州区(元の固原県)は、面積3,506k㎡、 人口50万2,200人(回族人口割合45.8%)を有する県級区である。住民の約80%を占める農民は、 小麦、トウモロコシ、胡麻、蕎麦等の作物を育て主な収入源としているが、市の85%以上が山地である ことに加え、旱魃や降雹、砂嵐などが頻発する地域であることから、大部分は非常に厳しい自然条件の 中で生産活動を営むことを余儀なくされている。また収穫量の多寡は天候に左右される要素が極めて高 いため、雨が降らず作物が発芽しない等の理由から、外地に出稼ぎに行く人々の割合も全体の約50% と高い。これらの理由から、同区住民の平均収入は1,920元と低く止まり、1983年より国家級貧困区 の指定を受けている。
 同区河川中学校(生徒数418人、教師数41人)は、河川郷にある唯一の中学校である。同校では20 05年に地方政府からの補助を受け校舎の改築を行ったが、宿舎建設資金までは工面できず、もともと校 舎として使用していた教室4棟を現在宿舎として使用している。同校では全校生徒の85%が寄宿を必要 としているが、宿舎が絶対的に不足しており1教室に38-42人が同居している状態である(宿舎面積は 600㎡、寄宿生は320人で1人当たりの面積は1.87㎡である)。また、それでも入りきれない40人は校 外に部屋を借りて住んでいる。夏になると宿舎内には悪臭が漂い、また狭隘な教室内で大勢の生徒が生 活しているためインフルエンザなどの感染率も高い。同校宿舎はC級危険建築物に指定されており、雨漏 りがひどく、一度雨が降ると居住が困難な状況になるため、学校を休校にすることもある。また室内には暖 房設備がなく冬には七輪で暖をとっているため、非常に危険である。

 08年、学区整理により付近の8校の小学校のうち5、6年生が同校隣にある河川小学校に通うこととなり 、また、同校と河川小学校とが合併し小中一貫の9年制学校となった。その結果、全校生徒数904人のう ち寄宿を必要とする生徒は450人余りまで増加し、既存の宿舎では全ての生徒を受け入れることは出来 ないため、宿舎に入りきれない児童らは一時的に親戚の家からの通学を余儀なくされている。このような 現状を改善するため、宿舎の改築は急務である。

(5)裨益効果:
 本件の実施により、同校校区において寄宿を必要とする生徒450名(実施後の寄宿予定生徒数)が安全 且つ十分な生活スペースの下で起居することが可能となる。

(6)供与限度額:88,421米ドル(2008年8月12日現在:9,991,573円、約60万元相当)

(7)特記事項:本件の竣工後、コクヨインターナショナル株式会社より同校に対しノートが寄贈される予
           定である。


【署名案件Ⅲ】

(1)案件名:寧夏回族自治区西吉県興隆鎮小学校校舎建設計画

(2)被供与団体:寧夏回族自治区西吉県人民政府

(3)案件概要:寧夏回族自治区西吉県において、小学校の校舎を建設するための資金を供与する。

(4)案件の社会的背景・ニーズ:  
 寧夏回族自治区南部山間地域に位置する西吉県は、人口47万9千人、面積3,144㎡を有する。同県は 人口の54%を回族が占める少数民族居住地域である。馬鈴薯の生産が盛んな地であり、総人口の92% を占める農業従事者は馬鈴薯の生産や澱粉の加工を主な収入源としている。しかしながら、当地は降水量 が少なく極端に乾燥した気候であり、また自然災害が頻発することから、貧困からの脱却が難しく、県総人 口の約10%が未だに貧困ライン以下の生活を送っている。平均収入は2,215元と低く、1983年より国家 級貧困県の指定を受けている。

 同県興隆鎮小学校(在籍児童数520名、教師数11名、12クラス)は、1956年創立の鎮中心小学校であ り、児童の96%が回族子弟により構成されている。70年代に建てられた同校校舎は全てがD級危険建築 物に指定されており、全体の約80%が既に倒壊している。同校では正常に授業を行うことが出来ないため、 2006年より児童らは付近の4つの小学校に分散して授業を受けている。それぞれ希望小学校(3、4年生1 85人)、王河小学校(1、2年生98人)、単民小学校(1、2年生101人)、回民小学校(5年生76人)であり、 児童らは狭隘な教室内で授業を受けることを余儀なくされている。また6年生(60人)は、全鎮の6年生が興 隆中学校で授業を受けることとなったため、現在同中学校で授業を受けている。

 地元政府は、このような現状を改善すべく、現有校舎を取り壊し、同校敷地内に新たに2階建て教学楼1棟 及び付属建造物を建設し、同校の教学条件の全面的な改善を計画している。しかしながら、同県の財政状況 は厳しく、緊急を要する教師宿舎については資金を工面できたものの、新校舎の建設資金確保は困難である ため、現在に至るまで根本的な解決はなされていない。このような現状を改善するため、新校舎の改築は急 務である。

(5)裨益効果:
 本件の実施により、身体的な安全と十分な教室面積が確保され、同校児童492名(実施後の推定在籍児 童数)がよりよい環境で義務教育を受けることが可能となる。

(6)供与限度額:88,273米ドル(2008年10月6日現在:9,974,849円、約60万元相当)

(7)特記事項: 本件の竣工後、コクヨインターナショナル株式会社より同校に対しノートが寄贈される予定である。


【署名案件Ⅳ】

(1)案件名:寧夏回族自治区霊武市狼皮子梁小中学校宿舎建設計画

(2)被供与団体:寧夏回族自治区霊武市人民政府

(3)案件概要:寧夏回族自治区霊武市狼皮子梁林場狼皮子梁村において、小中学校(9年一貫制)の宿舎を 建設するための資金を供与する。

(4)案件の社会的背景・ニーズ:
 寧夏回族自治区中部、銀川平原とオルドス台地の結合部に位置する霊武市(県級)は、面積4,539k㎡、人 口23万1,607人を有する。黄河の灌漑用水利用が可能な同市では、葡萄、棗等の果物やトウモロコシ、水稲 等の穀物の生産が盛んである。しかしながら、乾燥が激しく、黄砂被害が頻発するなど自然条件が厳しい地区 であるため、住民の大部分は非常に厳しい自然条件の中で生産活動を営むことを余儀なくされており、平均年 収は2,100元と低く止まっている。

 同市狼皮子梁学校(生徒数771人、教師数48人)は、小中一貫の9年制学校である。同校では現在254人の 生徒が寄宿をしているが、生徒宿舎はD級危険建築物に指定され2008年4月に取り壊しを行ったため、生徒ら は元来教師宿舎及び実験室として使用していた建物に男女分かれて暫定的に寄宿している。面積が絶対的に 不足しているため、1つのベッドを二人で使用するなど狭隘な宿舎内での生活を余儀なくされており、このように劣 悪な居住環境では感染病が蔓延しやすいなどの懸念もあるため、地元政府は同校敷地内に新たに宿舎6棟(36 間)を建設し、一部屋の生徒を8人とし、生徒らの生活環境を改善させる計画を立てている。また、現在暫定的に 寄宿している教師宿舎もC級危険建築物に指定されているため、新宿舎の建設に合わせ地元政府の負担により 補修を行う予定である。

 しかしながら、地元政府に対して自治区政府等より財政上の資金移転が行われているものの、宿舎施設の建 設資金を独力で調達することは困難な状態である。このような現状を改善するため、宿舎の改築は急務である。

(5)裨益効果:
 本件の実施により、同校校区において寄宿を必要とする生徒290名(実施後の予定寄宿生徒数)が安全且つ 十分な生活スペースの下で起居することが可能となる。

(6)供与限度額:87,468米ドル(2008年10月6日現在:9,883,884円、約60万元相当)

(7)特記事項:本件の竣工後、コクヨインターナショナル株式会社より同校に対しノートが寄贈される予定である。


6.日本大使館≪草の根・人間の安全保障無償資金協力≫固原市に医療機材の支援

寧夏・固原市張易中心衛生院医療機材整備計画の
機材引渡し式典を開催(09.02.18)
在中国日本大使館

 2月18日、草の根・人間の安全保障無償資金協力案件「寧夏回族自治区固原市張易中心衛生院医療 機材整備計画」の機材引渡し式が現地で行われました。引渡し式には、当館より大崎佳奈子書記官、中 国側より張秀・寧夏回族自治区商務庁副庁長、張国新・寧夏回族自治区衛生庁外援項目弁公室主任ほ かが出席しました。

  

(1)案件名:寧夏回族自治区固原市張易中心衛生院医療機材整備計画

(2)被供与団体:寧夏回族自治区衛生庁

(3)案件概要:寧夏回族自治区固原市原州区張易鎮において、衛生院の医療機材を整備するための資金を供与する。

(4)案件の社会的背景・ニーズ:
 寧夏回族自治区南部の山間地域に位置する固原市原州区は、人口約50万8,000人(少数民族割合44 .8%)、面積3,506k㎡を有する。住民の主な収入源は農作物の生産によるものであるが、元来旱魃や降 雹、砂嵐等の自然災害が頻発し、降水量も少ない地域であるため、経済発展から取り残されたままである。 平均年収は1,940元(約2万9100円)と低く止まり、1985年より国家級貧困県の指定を受けている。医療 保健分野においても整備が後れており、限られた疾病予防知識しか得られない環境の下、住民らは肝炎や 赤痢、結核等の伝染病の他、小児肺炎、下痢、栄養不良等の症状に苦しめられている。

 同県張易鎮衛生院(医師数20人、看護士数5人、ベッド数25床)は、鎮級中心衛生院として同鎮及び周辺 地域の住民7万余りに対して医療サービスを提供している。同鎮はちょうど周辺2県との県境に位置している ことから、流動人口を含め、比較的人口が集中しており、医療ニーズの高い地域である。また、交通量が多い ことから事故も頻発しており、同院は救急医療機関として機能することが求められていれる ほか、分娩手術を 始めとした母子保健医療の役割も担っている。年間のべ2万9,000人の患者を診察し、300例の手術を行う 同院は、地域の住民らに欠かせない医療機関であると言える。
 しかし、同院の医療機材は老朽化や不足が目立ち、十分な医療環境の下で治療が行われているとはいい 難い。機材や技術の不足から、患者の回復が遅れることもしばしばであるほか、治療困難と判断した重篤患 者や妊産婦を40km離れた上級医療機関へ搬送する際は、救急車を所有していないため、農業用トラクター の荷台を使用せざるを得ない。農村医療保険制度の普及に伴い、患者数が増加したことに加え、必要とされ る医療レベルも高まっている状況においては、住民に提供する治療の範囲を拡大し、より危険要素の少ない 条件の下で健康回復に専念できる環境作りを急ぐ必要がある。
 しかしながら、貧困地域に属する同区政府の財政予算は支出が収入を大幅に上回っており、機材購入資金 を独力で調達することは困難な状況である。よって今回、寧夏回族自治区衛生庁を通じ、日本政府に医療機 材と救急車の購入資金の援助を申請越したものである。上記の状況を改善するため、医療機材の整備は急務 である。

(5)裨益効果: 本件の実施により、張易鎮及び周辺地域の住民約7万人の医療条件が改善され、身体的・経 済的負担が軽減される。

(6)供与限度額:85,936米ドル(2007年8月22日現在:9,968,576円、約65万元相当)


〔プロジェクトサイトの実施前の様子〕
    


〔プロジェクトサイトの実施後の様子〕
    


7.西吉・海原・固原地区重点プロジェクト建設ブームを起こす

 23日、寧夏西吉・海原・固原地区17重点プロジェクトが固原市にて開始された。このプロジェクトの総投資額は 108億元に達する。
 寧夏発展改革委員会主任袁進琳氏によると、今回開始された重要プロジェクトは、エネルギー、水利、交通、 環境保護、旅行などの5つの分野を中心に投資され、その総投資額は固原市の過去4年間の固定資産投資の 総額を超える。

 プロジェクトのうち、エネルギー分野には27.6億元を投資し、六盤山における60万kwの電熱生産プログラムの 構築を開始する。このプログラムは固原市においては投資額が過去最大規模の工業プロジェクトであり、寧夏 南部における電力ネットワークの優良化に対する意義は大きい。水利分野では4.7億元が投資され、多くの人や 家畜の飲み水問題を解決し、危険になったダムの修繕に関するプログラムと固原市の深刻な渇水問題の緩和 に利する。交通分野では73.3億元を投資し、高速道路に沿った什字(地名)から沿川子(地名)まで600km近く の各級公共道路を建設する。環境保護分野では1.5億元が投資され、汚水処理プロジェクトの建設を開始し、固 原市各地区の汚水処理施設がない情況を改善する。旅行分野では8,600万元を投資し、須弥山博物館やシル クロード寧夏地区保護施設を作り、西部の特色を備えた旅行目的地作りの基礎を打ち立てる。
  固原市はかつて“土地がやせていることでは天下一”と呼ばれた寧夏の西吉・海原・固原地区にあり、一年を 通じて雨が少なく、自然条件が劣悪な典型的な農業地区である。農業人口は多く、貧困人口も多い。新しい貧 困人口計算基準によると、貧困人口は55.7万人に達し、当地人口の37.5%を占める。工業プロジェクトが少ない ために財力も薄弱であり、現在のところ、固原市の財政自給率は6%前後しかない。

 寧夏回族自治区主席王正偉氏は、「固原は寧夏の扶貧開発の主戦場であり、この一連の重大プロジェクト投資 は、中央政府の内需戦略部署と国務院が進める《寧夏経済社会発展促進に関する意見書》実行の重要な措置で あり、経済発展の階段を上る固原にとって重大な一歩となるだろう」と述べている。
 重大プロジェクトの開始により、内需の拡大だけでなく、なるべく早く当地の住民に幸せをもたらすことが期待され る。

寧夏新聞ネット 2009年3月26日付

(翻訳:田中奈緒美)


 8.寧夏 ”十二五(第12次5カ年計画)”の編成作業に入る                

 4月15日、“十二五”計画編成の透明度、民主的参加度を高めるために自治区発展改革委員会は22の計画策定 前期の重大な研究課題を公布した。これは広範な各界の英知を集結して計画の重大問題に対する共通認識を形 成し、また計画編成の基礎を築くためである。そして自治区の内外に向けて、招聘される研究単位を公開し、自治 区の”十二五”計画の編成を開始することを明らかにした。

 “十二五”期間は、自治区が科学的発展観を深く掘り下げ、飛躍的発展の推進に努力し、全面的な小康社会(や やゆとりのある社会)建設を加速させる要となる期間である。現在、国内外の経済社会発展の状況のもと、未曾有 のチャンス、未曾有の挑戦の時期にあり、“十二五”計画を科学的に制定し、首尾よく実践することは重要な意義を 持っている。

 自治区発展改革委員会が提案した22の研究課題は、計画の思想、産業構造、社会発展、改革開放、資源環境 など多方面に関わり、何れも全面性、戦略性、長期的展望を有し、自治区が“十二五”期間に必ず直面し、うまく処 理しなければならない重要且つ困難な問題である。


寧夏ネット 2009年4月17日付
(翻訳:神田)


 9.海原県 2600戸の農家が定住型の労務移民に                

 寒い冬が来て、出稼ぎに行っていた農民が次々と戻ってきた。しかし、海原県贾埫郷後埫村の農民羅永徳さん の家には、依然として鍵がかかったままである。近所の人話では、出稼ぎに行っている羅さん兄弟5人のうち、 3人は既に出稼ぎ先に家を構えて定住しているという。かつての単身出稼ぎからいまでは一家を挙げて故郷 を出るなど自発的「労務移民」が海原県の農民の中でだんだん多くなって来ている。

 自然条件が極めて劣悪な海原県の山区農民にとって、労務産業の発展は彼らの運命に転機をもたらした。県 党委員会、政府は、思想の解放、観念の刷新を中心内容とする労務輸出についての研修を組織し、旱魃の故郷 に立てこもり必死に生活をしている農民に、「故郷を出て生活の道を探す」という認識を固めさせた。三年間に、研 修を受けた農民は累計して10万人にも達した。

 県の労働就職部門は、市場運営メカニズムを導入し、50人以上の能力のある人を指導して労務仲介人証取得 の手続きをさせ、200人以上の仲介人による労務仲介会社の設立を指導した。昨年一年間に育成した労務仲介人 は220人、労務仲介会社は8社である。現在、累計して労務仲介会社は25社、労務仲介人は874人で、彼らを通し て6.25万人の農民が出稼ぎに行った。

 産業建設が不断に進化し、質が向上するにつれて、ますます増えてきた海原県の労務の大軍は次第に姿を変 えてきている。昔は春に出稼ぎに行って冬に戻ってくるという「渡り鳥生活」であったが、今では「労働移民」の道に 向かうようになった。遠く新疆へ赴き農場で仕事をしてきた馬志文さんは、長年の努力が実って、現在土地経営権 の移動によって、既に1,000ムーの綿畑を経営し、地元でも有名な「外来の農場主」となった。現在、新疆に定住し た改元県の農家は350戸余りである。

 「木を移すと死に、人を移転させると生かされる」。年初来、海原県の労務輸出の人数は10万人余りに達し、総額 4.51億元の収入を生み出した。一人当たり平均の労務収入は4,505元で、仕事が安定している人数は65,263人で、 総人数の65%を占めている。現在既に、2,600戸の農家が“労務移民”を実現し、出稼ぎ先に家を構えて定住し、労 務産業の発展の中で自分の運命を切り開いた。

寧夏新聞網 WWW.NXNEWS.NET    2008年12月24 日
(翻訳;郭迎麗  校正;神田)


10.彭陽県 大学卒業生の創業は一挙両得

 農民に模範を示しながら創業
 彭陽県の菌草業農家の先頭に立って富を得た張迪さんは、県都で食用菌有限会社の設立計画を進めている。 彭陽県城陽郷長城ゲン(土偏に原・・・黄土高原特有の地形。川の浸食で周囲の切り立った台地を表す)の食用菌 類生産団地で、張迪さんの60棟余りのキノコ棟では、10数人の農民がキノコの世話をしている。近年、彭陽県は 科学技術派遣員の役割を十分に活用し、また、多くの大学・短大学生の創業を支援し、併せて多くの農民の就業 を図っている。長城ゲンでは、今年、既に50名以上の卒業生が勉強しながら創業しており、100人以上の農村の 余剰労働力に就職の機会を与えている。

  固原農業学校農学専攻を卒業した張迪さんは、2003年科学技術派遣員として長城ゲンに赴任してきた。短期大 学出身にも関わらず、二年間の学習と実践を通じて“きのこの貴族”として知られるエリンギの栽培技術を身につけ た。程なく彼は技術を以て彭陽県の菌類生産経営に参入し、自ら創業の道を歩み始めた。2007年、張迪さんはエリ ンギで3万元以上の収入を得た。創業のうまみを始めて味わった彼は、今年初め、寧夏師範学院を卒業した兄の 張軍さんを誘った。今、兄弟二人は菌類生産団地で60棟あまりのビニールハウスを請負っている。

  「毎年3月から10月まで、この周辺の農民を雇用して菌種を作ったり、キノコを採ったり、包装したりします。一人 当たり7、8百元の月給を払います。最も忙しい時期は30人ぐらい必要です」と張軍さんは言う。長城村の周巧琴さ んはここでもう二年間働いる。彼女は、「仕事を通してキノコの栽培技術を習得できたので、今年10月、自分も2棟 のキノコ棟を請け負いました。500gのエリンギで1元以上の儲けになります。技術派遣員が指導くれますから、心 配などはありません」と話す。
 彭陽県科学技術局の米占国副局長は、「計画では、100人ぐらいの大学・短大卒業生に長城げん食用菌生産団 地に来てもらって、科学技術モデル創業活動を展開し、“生産団地が農家を導く”という発展モデルで、多くの農村 余剰労働力を移転することが可能です」と語る。
  現在、食用菌類生産団地には260棟のキノコ棟が既に建設され、生産量は毎日2t以上に達し、累計の生産額は 1,000万元以上だという。

寧夏新聞ネット 2008年12月25日付
(翻訳:虎永興、校正:神田)


11.寧夏 村級互助資金,全ての貧困村をカバー

 寧夏回族自治区扶貧事務室によると、本年自治区は扶貧資金7,500万元を調達し、全自治区21県(市、区)の300 の貧困村に互助資金を設立する。そして2011年までには全ての貧困村に互助資金を設立する。
 近年、自治区は村級互助資金の試験的実施を積極的に展開し、貧困地域住民の発展、増収の課題に対する資 金不足の問題を有効的に解決してきた。昨年、各種の扶助資金1,000万元余りを準備し、新たに73の村で実施し、 互助資金のモデル的実施村は108村になった。同時に村級互助資金の管理機構及び投資・回収、循環発展の新し い仕組みの構築、一体的な運用規則を制定し、貧困地域住民の発展増収プロジェクトのために有力な支援となっ た。
 今年は、7,500万元を調達し,3年間かけて全区の全ての貧困村をカバーする。2011年には“互助資金”を実施する 貧困村は1,404村に達し、貧困地域の行政村の全てに“互助資金”が設立され、住民による民主的管理、長期循環発 展の資金を持つことになる。


寧夏新聞ネット 2009年3月18日付
(翻訳・校正:神田)


12.水は救世主の如く 情けは水魚の交わりの如し


“甘い水”を満載した寧夏武装警察の旱魃対策小隊の車は、 長蛇の列をなして
同心県の水不足の郷鎮に赴く。


興隆鎮小口村の村民田興捧さんは飲み水を一気に飲み干す。


水は油のように貴重だ! 村民馬彦宝さんは一滴の水も無駄にしない。


  同心県城から東へひたすら歩き続けると、見渡す限り生気のない黄土が広がる。同心県は連続6年も大旱魃に 見舞われ、昨年、冬季に入って以来、降水量は3.3mmに過ぎず、村民の生産と生活は困難に直面している。「種は 播けないし、人、家畜とも飲用水の危機に悩まれています」と同心県民政局の馬文義局長は心配でたまらないよ うに語る。
  県全体では7.3万人が食料不足で、7.8万人が遠い所から飲み水を運んで何とか暮らしている。1立方メートルの 水のコストは55元から60元もするので、農民にとっては耐え難い。
 3月27日、自治区党委員会と自治区人民政府の指示の下に、寧夏武装警察は旱魃対策小隊を結成し、23輌の 運送車を組織して同心県への援助に向かった。

水!これは人命を救助する水。情!これは水魚の交わりの情。


寧夏ネット 2009年3月31日付け
(翻訳:虎永興、編集:神田)



13.海原県、計画出産詐欺を厳しく検査
違反5例、関係18幹部の責任を追及

 
海原県は、関橋郷王湾村において、2000年から、“少生快富(少なく生んで早く豊かになる)”プロジェクト の41世帯に対して検査を行い、関連基準に合わない5世帯を発見した。直ちに、関係者責任者を厳しく追 及した。責任追及は現任の幹部だけではなく、既に転職或は退職した幹部、あるいは既にこのプロジェク トに責任のなくなった幹部にまで及んだ。最高5任期を遡って合計18人の役人が処分を受けた。
 “少生快富”プロジェクトは、寧夏があみ出した経験で、“十一五”計画によって全国に普及された。この プロジェクトに適合する世帯は、一度だけ3000元の奨励金をもらうことができる。二人の子供が全て女の 子の場合には、夫妻とも毎月50元の補償金を受けることができる。それだけでなく、危険住宅の改善、ラ イフライン整備(一池三改)プロジェクトの優先権も与えられる。2009年から自治区政府は補償金と援助 資金を大幅に引上げた。そのため、海原県では2000年の“少生快富”プロジェクト実施以来、適格世帯は 6,373世帯を数える。

 検査を通じて、関橋郷王湾村の“少生快富”プロジェクトの中で5例の再婚による超過出産、計画外出 産、プロジェクト資金の詐取が明らかとなった。行政機関公務員処分条例及び自治区の関連規定に基づ き、関係責任者に対する処分が下された。

  関橋郷党委員会書記、郷長は転勤及び過失記録処分。当該時の関橋村党委員会書記には行政過失 記録処分。さらに、当該時の関橋郷主管、副主管5名にはそれぞれ行政警告処分が、計画出産センター 長2人には行政警告処分及びセンター長の職を解任された。センター職員の2人には反省書及び戒告処 分がなされた。また、プロジェクトの審査員3人には行政警告処分、県計画出産局長は主管責任上、県人 民代表委員会と県政府に対して反省書を提出させられた。王湾村党支部書記兼主任、元主任兼副書記 も厳しく責任が追及された。
  こうして、海原県は、違反した5世帯が既に受領していた奨励金1万5000元を撤収し、優遇資格を取り 消した。

寧夏新聞ネット 2009年3月26日付から
(翻訳:虎永興、校正:神田)


14.寧夏“家電下郷”で農民の恩恵が増える

 新たに5品目補助対象 13%補助 補助台数は2台に

 4月6日、寧夏回族自治区商務庁によると、パソコンや温水器など5品目を“家電下郷(家庭電化製品を農村 に普及させる)”製品の補助対象に加え、農民がそれらを購入するとき、政府が販売価格の13%を補助するこ とにした。
  新たに追加された品目を加えると、現在、寧夏自治区において補助対象となる“下郷”家庭電化製品はカラ ーテレビ、冷蔵庫、携帯電話、洗濯機のほか、パソコン、温水器、エアコン、電子レンジ、電磁レンジである。 同時に、自治区商務庁は補助製品と補助制限を調整し、補助対象を1世帯1品目1台から2台に変更し、補助 基準も明確にした。
 カラーテレビ、冷蔵庫、携帯電話、洗濯機の4種類の補助製品については、固原地域、海原県、同心県、塩 池県、紅寺堡開発区では1台目の補助率を13%から20%に引上げ、それ以外の県﹙区﹚は15%に引上げた。 2台目と新たに追加された品目はともに13%の補助を維持する。
 当面、新たに追加された製品のできるだけ早い市場販売を確保するために、第2次“家電下郷”販売企業を 登録中である。一方、オートバイは“車下郷”の補助対象に繰り入れることが決定したが、詳細はまだ決まっ ていない。

寧夏新聞ネット 2009年4月7日付

(翻訳:虎永興、校正:神田)


15.中国青年報「日本がなければ改革開放は異なっていた」

 2008年はすでに最後のカウントダウンの段階に入り、中国の改革開放30周年記念活動もピークに達している。 今年はトウ小平氏の訪日と中日平和友好条約の締結からも30周年にあたる。両者の時期的な一致は決して 偶然ではない。中国の発展は国際情勢や世界経済と切り離せないし、改革開放と隣国日本となると、なおさら緊 密な結びつきがあるのだ。過去30年の間に、歴史問題や釣魚島問題で中日関係にはさまざまな対立や摩擦が 生じたが、改革開放の各段階において日本が発揮した役割を否定することはできない。(文:王錦思)

 日本はわずか7年で経済水準を戦前の最高水準にまで回復させ、わずか25年で世界第2位の経済大国の王 座に登り詰めた。トウ小平氏は日本が餓死者の死体が野に満ち、万事が建直しを要していた苦境から、世界第 2位の経済大国へと迅速に崛起した壮挙を大いに称賛した。
 トウ小平氏は、ちょうど中国共産党第11期中央委委員会第3回全体会議前夜の1978年10月、「中日平和友好 条約」締結のために訪日し、この機会を借りて入念な視察を行い、経済的奇跡を成し遂げた日本のノウハウを尋 ね、思索を巡らせた。トウ小平氏は「私が今回日本に来たのは、日本に教えを請うためだ」「科学技術の発展に おける日本の進んだ経験を持ち借りたい」と語った。
 トウ小平氏の訪日は、中国の改革開放にとって鍵になる旅だったと人々に見なされている。この訪問後、中国 は日本をモデルとした経済発展を決定し、改革開放の百年の大計を定めた。トウ小平氏の倍増構想は、日本の 所得倍増計画に啓発されたものかも知れない。
 1979年12月に訪中した大平正芳首相は、中国の改革開放政策を全面的に支持し、経済・教育・文化など幅広 い分野で物的・人的支援を行う意向を表明した。
 1人当たりGNPが約350ドルで、外貨準備高がわずか1億6700万ドルだった30年前の中国に、日本政府は500 億円(2億2000万ドル)の円借款を提供した。日本は中国にとって最大の援助国で、中国が外国から受けた援助 の66.9%、金額にして2000億元余りが日本からのものだ。これらは中国の鉄道・道路・港湾・空港などのインフ ラ整備、および農村開発・環境保護・医療・教育などに幅広く用いられている。日本側が中国に派遣した専門家 は2002年までに1万2000人を超える。日中の貿易額は9年連続で記録を更新し、07年には2366億ドルを超えて、 中国は米国を抜き日本にとって最大の貿易相手国となった。両国間の人的往来も延べ512万人に達した。
 トウ小平氏は東京から関西まで新幹線に乗った際、記者に感想を聞かれて「速い。本当に速い。 後ろから 鞭で打っているような速さだ。これこそわれわれが求めている速さだ」「われわれは今、走ることをとても必要と している」「今回の訪日で現代化とは何かがわかった」と語った。30年間で中国経済は急成長し、GDPでは世界 4位に躍り上がり、貿易額では世界3位、173品目の商品の生産で世界1位になり、世界経済の成長への貢献で は米国に次ぐ世界2位の地位にある。中国は日本の受動的な被支援国から日本経済の復活を促す国となった。 日本経済が長期的な衰退と低迷から転換し、復活を成し遂げる上で、「中国要素」は重要な力となっている。  日本なしでも改革開放は前進できたと推察は可能だが、異なる方式、異なる内容が生じていたであろうことに 疑問の余地はない。だが歴史は日本を選択し、トウ小平氏は日本を選択し、これを改革開放のブースターの1 つとした。中国はこれによって活力に満ち、今なお大きな利益を受けているのである。(編集NA)

「人民網日本語版」2008年12月24日 http://j.people.com.cn/94474/6561159.html