春の風物詩 たこあげ
 寧夏の春といえば,賀蘭山から吹いてくる強い風です。最近では,荒漠化の改善からか,あるいは気候変動からか,砂嵐が起こる回数は減ってきましたが,それでもこの季節の風は,他の季節と比べるとかなり強いです。そんな強い風の中,人々がいそいそと繰り出すのが,凧揚げです。
 日本ではお正月のイメージが強い凧ですが,中国,特に西部地域では,3月~4月頃が凧揚げに適した季節のようです。この季節公園に行くと,必ずと言っていいほど,凧を売る露店が出ています。値段はピンからキリまでで,子ども向けの小さいものなら10元(160円)程度で買えます。値段が安いので質もそれなりですが,小さい子どもたちが凧を持って一生懸命走っている姿は微笑ましいもの。そして,そんな子どもたちに対して,親も熱心にコツを教えています。そう,寧夏へ来てびっくりしたことの一つ,それは,老若男女,誰でも凧を上手に揚げられるのです!知人は,「寧夏は風が強いので,春に外でできる娯楽といえば,凧ぐらいしかない」と言っていましたが,だからなのか,親子連れのみならず,熟練のおじいさんたち,若いカップルまでもが凧揚げを楽しんでいます。日本ではちょっとお目にかかれない光景だな,と思います。
 先日は,郊外で開かれた凧揚げ祭りに行ってきました。祭りでは,色とりどりの凧が思い思いに空を飛んでいました。目立っていたのは,鷹の形の凧を,まるで本物の鷹が空を飛んでいるように操る方々。この人たちはプロらしく,様々な省からこのようなイベントが開催される場所に出張して,凧揚げを披露しているようです。それから,まるで龍のような連凧も,中国らしく,青い空に映えてきれいでした。
 寒い冬が終わって,徐々に暖かくなり始めるこの季節。人々が凧揚げに興じるのは,外で過ごせる喜びを味わうためなのかもしれません。

凧揚げ祭り

凧揚げ職人の方々の旗印

速すぎてカメラに収めきれない鷹凧の職人技

凧の他に、食べ物の出店も


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