銀川の春

迎春花。すでに葉が多く出てきていますが,
桜と同じく花期には葉がありません。
 4月も終わりに近づき,ここ銀川はすでに最高気温が30℃を超えています。といっても,朝晩は15℃前後なので,真昼以外の気温は日本とそう変わらないのですが,日中は日差しも強く,すでに夏の気候です。今回は,あっという間に過ぎていった,銀川の春についてお話しましょう。
 銀川の春は短いです。気温が暖かくなってくるのは3月中旬からですが,春を感じられるのは本格的に花が咲き出す4月の清明節を過ぎたころからでしょう。それまで,まさに灰色一色だった世界が,ピンクや黄色の鮮やかな花々で彩られます。
 最初に咲き出すのは桃や木蓮,続いて迎春花です。迎春花は黄色い花を咲かせる低木で,この花が咲くとその名の通り「春が来たな」と感じられます。この頃には柳やポプラなどの大木にも,緑の新芽が現れ出します。次にライラック。銀川の大通りには,ライラックが街路樹として使われていることが多いので,散歩をしていても,紫や白の花から甘い香りが漂い,幸せな気分に浸れます。そして現在満開を迎えているのは藤。乾燥しているからか,日本の藤ほどの色の濃さはありませんが,大きな花房を枝いっぱいに下げている姿は素晴らしいの一言です。このように銀川では,多種多様な花々がほぼ一週間ごとに見頃を迎え,目を楽しませてくれます。

 藤

 寧夏大学内の緑

 陽気に誘われて姿を見せたカササギ
 しかし,銀川の春の植物にもやっかいなものが一つ。それは,柳絮(りゅうじょ)と呼ばれる,ヤナギ科の植物(特にこちらではポプラ)の綿毛です。
 日本の柳には,目立つ綿毛を形成しないものが多いそうで,柳絮を見ることは少ないと思いますが,中国ではこの季節の風物詩で,古くは漢詩にも多く詠まれているようです。白い綿毛が空を飛んでいる様は,雪のようで確かにきれいなのですが,雪とは違って融けないので,地面の上にまるで埃のようにたまっていきます。また,目や口に入ってしまうこともあり,ひどい場合にはアレルギーを引き起こしたりもするそうです。
 ポプラにとってみれば,大切な種を飛ばす役割を持つ柳絮。しかしポプラは水を多く必要とする植物で,乾燥地帯の銀川には適さない,と聞いたことがあります。せっかく種を飛ばしても,人間に迷惑がられる上,子孫を残すことは難しいのだなあと,アスファルトの上に溜まる柳絮を見るにつけ,そんな切なさをも感じてしまう春なのです。

 ポプラの穂。綿毛が出ています

 道端に溜まった柳絮

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