インフルエンザの猛威

 日本でも新型インフルエンザが猛威をふるっているようですが、こちら寧夏にもその影響が現れてきました。
 初めに患者が出たのは、寧夏大学の隣にある北方民族大学。9月の終わり、ちょうど島根大学からの調査隊が日本に帰国した後でした。北方民族大学の患者の人数は30人程度だったそうですが、この頃から、寧夏大学の管理も日に日に厳しくなり、現在では学内は「封鎖」されています。

 「封鎖」とは、大学構内への部外者の立ち入りを禁じる、また学生の学外への外出を禁じる、というものです(ともに、許可証があれば出入りできます)。かわいそうな学生たちは全員、寮と教室の行き来のみ。図書館や食堂も「人が多く集まる」という理由で開放されず、食堂でご飯を買って、寮の部屋に戻って食べるということが徹底されているようです。外に出られない学生のために、土日には家族や友人が食べ物などを持って、唯一顔を合わせられるフェンスのところにやってきます。

 万一熱が出たら、学生寮一棟を臨時的に利用した「隔離棟」に隔離されます。寮の1室は4人~6人の学生が住んでいますが、その内一人に熱が出たら、同じ部屋の人は全員隔離されるので、爆発的に隔離人口が増え、うわさでは累計1000人に上っているようです。(実際に新型インフルエンザに感染していれば、もちろん病院に移送されます。)

 また、比較的自由な教師たちにもルールはあります。出入りの際に、許可証を見せなければならないことと、学内に入るときの体温測定です(写真参照)。この体温計を初めて見たときもびっくりしましたが、さらに驚いたのは表示温度です。いつも、「30.6℃」とか、「32.2℃」とか・・・。額の表面温度ですから、その程度なのでしょうが、それにしても個人や日によって2℃、3℃変ってしまうのにはびっくりです。話によると、34.3℃以上になると、隔離されるそうですが・・・最近気温もどんどんさがっているので、なかなか34℃以上になる人はいないようですね。

 このように、一見不条理にも感じるインフルエンザ対策ですが、国や自治区から「インフルエンザ対策をするように」との指示が出ている以上、寧夏大学で新型インフルエンザが流行するようなことになれば、職務怠慢、責任問題に発展します。できる限りの対策を、と考える大学上層部の気持ちもわからないでもありません。この異常に厳しい対策から、縦社会中国の悲しさをも感じられるような気がします。


毎朝の体温測定

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