中国の夏の食事

 中国の人たちは、余り冷たい物を好まないようである。日本人なら、冷やしたそうめんや冷麺などを好んで食べるような夏の暑い盛りにも、基本的な食事は熱いものを食べる。 どんなに暑い時でも、熱いラーメンや熱々の鍋(砂鍋と呼ぶ、石焼ピビンバのような容器に野菜や肉をたっぷりいれ、ぐつぐつ煮たもの)を食べている。こんな暑い時によく食べられるな、と感心するが、当然のように熱い食事が基本である。 もちろん夏には熱くない麺もあるが、余り食べているようには見えないし、個人的な好みかもしれないが、残念ながらあまりおいしくない。
 この熱を通した熱い食事を、この暑いのに閉口だとかいいながら我々も食べるのだが、慣れてくれば、苦にならないし、これも悪くないように思えてくる。 第一、物が腐りやすく、食中毒が起こりやすい時期であり、熱を通してそのまま食べるというのは、衛生的にも好ましいとも言える。
 大学の近くに、韓国風冷麺が食べられる店がある。比較的こぎれいな店で、結構おいしい。日本人には、夏には、このさっぱりした冷麺が口に合うように思われる。 しかし、値段が安いこともあるのかもしれないが、どちらかといえば中国の熱いラーメン屋の方がはやっているのである。
 この熱いラーメン屋も含め、大学近くの食堂で冷房が効いているところは、滅多にない。せいぜい、古びた扇風機が回っているだけと言うことが多い。 湿度が低く、暑い夏も短いので、これで十分なのだろう。
 暑い話のついでに、もう一つ。夏、大学近くの大衆食堂に入って、注文した料理が出てくるまで待つ間に、日本のように冷えたお茶が出てくることはない。水が出てくることもない。 それでは出てくる物は何か。白湯か麺などをゆがいた湯だとおもわれるが、そば湯のようなものが出てくることがある。 最初は、すぐには何か理解できないが、誰もが飲んでいるので、同じように飲むがこれも熱い。冬には良いのだが、夏にはちょっと、という感じだ。

(2007年7月17日 文責:井口)

 

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