重点大学入りを目指す寧夏大学

 寧夏大学は、寧夏回族自治区で最も大きな総合大学で、学生数20,000人を有する。しかし中国政府から重点大学の指定を受けていない。
 重点大学とは、大学の研究、教育の質を高めるため、国が重点的に支援する大学のことである。予算の重点的配分によって大学改革と質の向上を急速に進めようとするもので、1954年に北京大学など6校が指定された後、1978年には88校まで増加し、その後約100校になった。
 1991年から始まった第8期五カ年計画では、新たに「211プロジェクト」が始まった。これまで重点大学に指定されている大学を中心に、21世紀に向けて約100の大学を重点的に支援し、優秀な人材を育成するとともに、国の経済建設及び社会発展上で生じる重大な科学技術問題を解決する基盤を作ること、研究・教育・管理面において国内の先進大学であるとともに、国際的にも一定の影響力を持つレベルまで引き上げるというものである。2005年末時点で107校が指定を受け、国から多額の補助金を受けている。
 寧夏自治区は、重点大学のない三省(自治区)の中に入っており、いま全区を上げて重点大学入りを目指している。多額の資金を投入して施設、設備の充実を図るとともに、研究・教育・管理面においても回族自治区の特色を生かした先進的学科づくりに取り組んでいる。新しい研究棟や施設が次々と建設されている。寧夏国際研究所もその一つで、この国際的な共同研究が重点大学指定に貢献するのではないかと期待されている。もし重点大学指定が実現すれば国からの支援は今の3倍にはなるとも言われている。

 現在、中国政府は、更なる教育改革と質の向上を目指して、「985プロジェクト」にも取り組んでいる。これは、1998年5月、江沢民主席(当時)が北京大学創立100周年大会で、「現代化実現のため、中国は世界先進レベルの一流大学を持つべき」と講演し、これを受けて始まったプロジェクトである。世界の一流大学と比肩できる高水準の研究・教育・管理を目指す大学・学科を重点的に支援する。現在38校が指定されている。

(2006年10月16日 文責:神田)

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